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響也side*4
シャワーを浴びに行って、そこで散々、慣らして。
ベッドで、事に及んだ。
男を抱くのは初めてだったけど――――……もう自分の抑えがきかなくて。
マジでやばいと思いながら、熱を吐いて。楓の中から抜いた。その感覚に震えながら、ンン、と声を漏らす、まだ荒い息の楓の唇をふさぐ。
舌を絡めて――――……でも、ゆっくりなキス。
そうしているうちに、体の下にいる楓が、少しキスを離して、オレを見上げてきた。
「……き、つすぎ、なんだけど、お前……」
「あー……悪い」
腕の中で。
やっと落ち着いた呼吸で。
かすれた声で訴えてくる楓に。
一言で答えると。
「……お前、絶対、悪いと思ってないだろ……」
気だるげに動いた楓の手が伸びてきて、頬をぎゅう、とつままれる。
「オレ、初めてって言ったよな?」
「――――……言ったけど」
言ったけど。
……加減できなかったのは、悪かったとは思うけど。
「……でも、感じてたろ」
「――――……っ」
頬をつまむ手を取って、ベッドに括り、組み敷いた。
「かん、じてないとか、言ってないだろ、オレは、きつかった、って言ってるんだよ……っ」
真っ赤になって、そんなこと言われると。
感じてたんだ、と、思って、余計に。
「もっ回、する?」
「……っ今、無理……」
「無理? ……イケるだろ?」
「……っ無理!」
眉を寄せるその表情が――――……さっきの最中の顔にだぶる。
「――――……入れないから。しよ?」
「……っ……」
「我慢、無理」
「――――……っ」
キスして、唇に舌を触れさせると。
最初は眉を顰めていたけれど。そっと口を僅かに開いて。
オレの舌を受け入れる。
「……ん、ぅ――――……っ」
どっちの熱なのか。
熱すぎて、頭、バカんなりそう。
「……は……ん、ふ……っ……」
……キス、散々したから、楓も少し慣れてきたけど。
まだ、呼吸が苦しそう。
――――……それにすげえ、ゾクゾクする。
「……あーもう……どんだけでも、デキそう……」
思わず口にすると、ものすごく困った顔をした楓が。
「そんなに、オレ、が、好き……?」
そう聞いてきた。
意外。……可愛いこと、聞くんだな、と笑ってしまいそうになりながら。
少し考えてから。
「――――……好き、どころじゃねえから……」
そう言って返したら。
――――……また一瞬で、さっきよりも真っ赤になって。それから。
抵抗しようとしていたのか、オレの胸のところについてた手を。
そろそろ、と首に回してきた。
「好きじゃ、なくて――――……じゃあ、何?」
まっ赤なくせに、そんな言い方で、聞いてくる。
「――――……もう、絶対離さねえから。覚悟しろよって感じ……絶対、誰にも、触らせんなよ?」
そう言うと、びっくりした顔でオレを見つめて。
「……じゃあ……離したら――――…… コロすから」
睨まれるみたいに見つめられて、そんな風に言われる。
――――……これも、意外。そんな言葉、こいつが言うの。
「……上等」
く、と笑ってしまう。
――――……もちろん、一目惚れだし。好きっていう感情もあるけれど。
もっともっと、激しい気がする。
「……お前、もうオレのだからな」
「――――……ほんと、お前、偉そう……」
む、として、オレを、見てるけど。
「オレも、お前のだから」
そう言うと、少し考えた後、じっとオレを見つめてくる。
「――――……響也……」
……もう蝉も鳴いていない。
静かな静かな、二人だけの世界で。
楓がオレの名前を、ゆっくり呼ぶ音が。
なんだかとてつもなく――――……。
「……楓」
名を呼び返すと。
なんだか切なそうに、瞳を細める。
たまらなくなって、唇を合わせた。
- Fin -
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