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プロローグ

 鏡に映った美しい花や水に映った美しい月。  それらは目には見えても見るだけで、実際に手に取ることができない儚い幻。  ……手を伸ばしても届かない。  ……目の前にいるのに触れられない。  ……好きなのに好きとは口にしてはいけない。  言葉では表現できず、ただ心に感じるしかない。  兄の俺が弟に抱く感情。  それは、まるで『鏡花水月』のようだ。  

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