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 さて、ここがBLゲームの世界だということは、この学園でめくるめく男性同士の恋愛模様が繰り広げられることになるのだが……。  当然、その渦の中心はこのゲームの主人公になるだろう。  正直な話、ゲームでは主人公周辺しか描かれていないので、いわゆるモブたちの生態は分からないのだ。  BLゲームという性質上、誰も彼もが同性愛者であったり、ノンケであっても男にトキメキを覚えてもおかしくないし、逆に一部の人間だけが同性の恋人を求めている可能性もある。  そんな中で言える確実なことは、俺が異性愛者であるということだ。  前世でも今世でも、男に恋愛感情を抱いたことはないし、女性に片想いをしていた。  しかし、この世界ではそれが免罪符になることはあり得ないだろう。 「俺はゲイじゃない。お前だから好きになったんだ……」  作中のとあるキャラクターの台詞である。  BLというジャンルにおいて"ノンケ"という属性は一定の人気を保っている。  もしもこの世界が、メインキャラもモブも関係なくフラグが乱立する世界なら……これまでの人生で一度も男に恋愛感情を抱いたことのない人間でも、惚れる時は惚れるし惚れられる時は惚れられる、ということになる。  理事長の挨拶が終わり、来賓の紹介と挨拶が始まる。  式と名の付くものは、どうしてこうも堅苦しく長くなってしまうのだろうか?  まぁ、無駄な時間を過ごせるおかげで、OAOに関する記憶を整理することが出来るので良しとしよう。  まず主人公のデフォルトネームは雨宮 春(あまみや はる)。  ただ、ゲームでは好きに名前を変更することが出来たから、主人公の名前が確実にコレであるという保証はない。  身長が低いことと可愛いと言われることを気にしていて、ピンクゴールドの髪に黄色の瞳というとんでもない配色の容姿をしている。  これはまぁ、ゲームやアニメなんかでお馴染みの色でキャラを識別しやすくする手法だ。  ただ、この世界ではその手法が"人類として当たり前のこと"となっている。  例えば、俺の髪色はくすんだ金髪と形容出来る色をしているが、別にわざわざこの色に染めたわけじゃない。  俺は純日本人だが、生まれつき髪はくすんだ金色なのだ。  今だって、周囲を見渡せば色とりどりのカラフルな髪と瞳を持つ人間が座っているが、彼らのソレも生まれつきなのである。

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