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番外編 ウーリーにもらった媚薬2★

「──ァッ、ェヴァ……ッ!」  僕の先端から、精液が飛び出す。自分でも情けないほど呆気なく達してしまい、小さく声を上げてその快楽を受け入れる。 「は……っ、ぁ……」  僕は目を開けると、エヴァンが間近で僕の顔を見ていた。綺麗な瞳に吸い込まれそうになっていると、その瞳が細められる。 「かわいいですよ……」  そう言われてキスをされ、ベッドに押し倒された。けれど僕の身体は、達したというのにまだ身体は興奮状態で、寒くもないのに手足が震え出す。 「え、エヴァン……っ、僕……っ」 「ええ。よく効いていますね……こっちも全然萎えない……」 「ひぁ……っ」  くちゅ、と僕の精液で濡れた自身をひと撫でされ、僕の腰が跳ねた。そのまままたゆるゆると扱かれ、僕の腰はうねる。 「やっ! やだ、おかしくなる……っ!」  足でシーツを蹴り、その刺激から逃れようとすると、エヴァンは僕の腰を掴んで彼の方に引き寄せた。そのまま彼の唇で口を塞がれて、下半身と胸も撫でられ、僕の意識は一気に遠のいていく。 「あ……っ、ああ……!」  無意識に口を手で塞ぐと、身体がビクビクと痙攣した。頭がクラクラしてはーっ、はーっ、と大きく呼吸をすると、震える僕の腿をエヴァンが大きく開く。  萎えない僕の怒張が、もうはち切れそうで痛い。とにかく出したくて、自分のそれを握ろうと手を伸ばすと、エヴァンにその手を取られた。 「ダメですよ、自分でいじっちゃ」 「……っ! やだ! イキたいっ、イかせて……っ!」  さっきは自分で触れと言ったくせに、と涙目で見ると、彼は僕の足の間に入ってくる。 「イクなら、こっちで」  そう言ってエヴァンは僕の後ろを撫でて、指を入れてきた。いつの間にかヘアオイルを指に塗っていたらしくて、ずぶずぶと奥へ入ってくる。 「あ……ぁ……」  中を刺激される快感を知ってしまっている僕は、それだけで期待に身体を震わせ、布団かシーツを握りしめる。そして指が奥の気持ちいい所まで入ると、エヴァンはそこを優しくトントンとつつくのだ。 「あっ、……エ、……っ!」 「ここ。気持ちいいですね? ほら、こっち見て」  エヴァンの優しい声に視線を上げると、目を細めて僕を見ている彼がいた。シンメトリーの顔はパーツひとつひとつを見ても綺麗で、まるでゲームに出てくる3Dのキャラクターみたいだな、と思う。  すると、腰の奥がずくん、と疼いた。それはエヴァンがそこを刺激するほどせり上がってきて、僕は忙しなく頭を左右に振る。 「……っ、だめエヴァンっ、あっ、イッちゃうイッちゃう……っ!」  そう叫んだ直後、僕の頭の中は真っ白になった。上半身を捩り、グッとシーツを掴んだ手を硬直させる。力が入った身体はブルブルと震え、僕はしばし深い快楽に堕ちた。  はあはあと戻ってきた視界を目を凝らして確認すると、僕はまた達していることに気付く。何がなんだか分からなくて、目の前の恋人にハグをねだると、エヴァンは僕の脚の間に入って上から抱きしめてくれた。 「エ、エヴァ……っ」  それでもまだ興奮状態は収まらない。怖くなってぎゅうぎゅうと彼を抱きしめると、宥めるように頭を撫でてくれた。 「……貴方には少々強かったようですね。大丈夫ですよ、ウーリーに安全性も確認していますので」  そんな話をいつの間にしたんだ、と思ったけれど、僕はもう、体内でうねる欲望をどうにかしたくて、舌っ足らずに叫ぶ。確か、早く挿れて、とかエヴァンので思い切り突いて、とか言った気がする。薬で身体が熱くなってるとはいえ、そんな恥ずかしいことをよく言ったな、と思った。  エヴァンは僕の足を抱えて、横向きになるように言う。体勢的には後ろからの方が楽だから、それも考えてのことだろうけど、顔が見えないのはちょっと寂しい。 「……っ、んんっ!」  ゆっくり、エヴァンが入ってくる。熱いものが粘膜を押し割ってくる圧迫感、そして奥まで入った時に当たる気持ちいい場所。僕の身体はまたしても絶頂への体勢に入り、ギュッと布団を握る。  エヴァンは僕の片足を抱え、そのまま軽く動かした。突かれる度にせり上がってくる何かに、僕は首を振って声を上げる。 「ああっ、そこ、だめ……! またイッちゃう!」  僕がそう訴えると、エヴァンは後ろでふっと笑ったようだ。 「いいですよ。気持ちいいところ、いっぱい突いてあげます……」 「……ッ! ……──ッッ!!」  またガクガクと、身体が痙攣する。それを機に小刻みだった身体の震えが大きくなって、止まらなくなった。それがエヴァンの抽挿と重なってさらに大きな刺激となり、僕は口を押さえてまた絶頂した。 「や……! エヴァンっ! ヤダ……ッ!」  びゅるっ、と下から音がしたと思ったら、断続的に下から何かが出ている感覚がする。それが何か確認もできないまま、エヴァンの律動に腰と後ろを震わせ、僕は声を上げた。 「ああっ! エヴァンの、熱い! 熱いので擦られて、いい! 気持ちいい、よぉ……っ!」 「……ふふ、それはよかったです」  後ろで笑う声がする。それにさえゾクゾクして、僕は普段なら絶対に言わないようなことを口にした。 「エヴァンもっ、僕のおしり気持ちいい? いいのっ?」  この薬が、熱に浮かされて素直になれる薬なら、半分は当たっている。僕もエヴァンには気持ちよくなって欲しい。だってこれは、好きな者同士がする、コミュニケーションなのだから。 「ええ……。とても悦いですよ……」  エヴァンの声が上擦った。すると彼は律動を激しくしながら僕の耳を食み、ずっと萎えない僕の雄を扱いてくる。同時に色んなところを責められ、堪らず僕は声を上げた。 「ああっ! そんな同時に責めたら……っ! ……──ッッ!!」 「……っ!!」  僕が身体を反らせてイクのと同時に、エヴァンの動きが止まった。僕の中で彼が大きく痙攣し、熱を奥に注いでいる。 「……はあ……っ」  大きく息を吐くと、エヴァンが息を乱したまま、耳にキスをしてくれた。酸欠でクラクラした頭が冴えてくると、エヴァンはまた、僕の性器に触れてくる。 「んっ、や、……なにっ?」 「まだ萎えてませんね……」  そう言ったエヴァンは、繋がったまま僕を彼の身体の上に乗せた。そして戸惑っている間に下から突き上げられ、僕はまた、深い快楽に堕ちる。 「ひぐ……ッ!!」  エヴァンに背中を見せる体勢で、僕は声もなく悶え、ガクガクと全身を震わせた。目の前に星が散り、視界がブラックアウトしかける。かろうじて腕を突っ張って身体が倒れるのを支えると、エヴァンにこちらを向いて、と体勢を変えるよう言われた。 「え、エヴァン……っ」  優しく手を引かれ、僕は彼の上にくたりと倒れる。そしてそのまままた穿たれ、悲鳴のような声を上げた。 「あっ、あっ、あっ! だめ深い……っ、いく、イッちゃう……!」 「……かわいいですね。いいですよ、私のでいっぱいイッてください……」  ちゅ、と耳元で音がした。エヴァンのしっとりした肌が、僕の胸を熱くする。エヴァンも感じてくれてるんだ、それも休む間もなく僕を抱きたい程、と思ったら、また腰から何かがせり上がってきた。  そのあとは、もう赴くままに感じていた。僕もエヴァンにキスをし、彼の傷跡をなぞり胸を撫で、自ら腰を動かした気がするけれど、熱に浮かされていたのか、記憶が曖昧だ。  けれど、これ以上ないくらいの快楽と、幸せな気分で満たされて、とても満足したのは覚えてる。エヴァンが、またウーリーにもらいましょうか、と言っていた気がするけど、僕は何て答えたか覚えていない。 「貴方の魂が尽きても……愛していますよ」  眠る直前、そんな言葉が聞こえた。けれどもう僕はひと言すら発せなくて、そのまま微睡みの中に落ちていく。  目が覚めたら、彼のこの言葉の返事をしよう。  僕も愛しています、と。 [番外編 完]

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