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最南の島 エナ1
あれからマジョリカで色々話し合いをした結果、しばらくの間、エドナ診療所は僕が週二回出勤し、その他の三日は何とエリン様が勤務してくださる事になった。
「回復魔法かければいいんでしょ?今はワタシ暇だから。」
少し不安を感じなくもないけど、父さんが時間の許す限り一緒に診てくれるらしいで、お任せする事にした。これで二人の仲が進展するといいなぁ。
そして、今日はティムが最南の島へ帰る日。魔王様たちにはすでにあいさつ済みだそうで、この場所に来ているのは父さんとコウ兄だけ。
僕も荷物をティムのアイテムボックスに入れてもらってついて行く。
リン兄も一緒だ。ワープポイントを設置する為だけど、僕も心強い。やっぱり最初は緊張するからね。
僕はティムに、ドナはノンに、そしてリン兄は何とローゼ様に抱きかかえられ、ネル(リン兄の契約精霊のユキヒョウ)はスー(ローゼ様の契約精霊のリヴァイアサン)様の背中に乗っての瞬間移動だ。
コウ兄とジン(コウ兄の契約精霊のウンピョウ)はすごく複雑そうな顔をしてたけど、リン兄とネルに睨まれて大人しくしていた。
リヴァイアサンの背に乗るユキヒョウってすごいな。背負いやすいように、スー様はいつもより大きめに、逆にネルは小さめになっている。うん、可愛い。
「では、行くぞ。父君、コウ、ワープポイントが無事設置されたらぜひ一度最南の島にお越しください。」
ティムがそう言ったのを合図に、みんなで瞬間移動する。どうせすぐに帰って来て、行き来するんだからお別れの言葉はなしでって決めたんだ。
まずは一回目の移動。最南の島は遠いから、三回に分けないと瞬間移動でも行けないらしい。続いて二回目、三回目と連続で飛ぶ。数分で最南の島に着いた。
まず目に入ったのはドラゴンの巨体。それも三体!その横には少し小さめ・・・と言ってもドラゴンの四分の一くらいの大きさの、伝説のドラゴンが飛んでいる。
「やぁ!いらっしゃい。待ちかねたよ。エナちゃんだね?おれはこの島の王でティムの父、ボビーだ。こっちは契約精霊でバハムートのビル。よろしくなっ!」
いきなり王様の前ってどうなの?僕にも心構えってもんが・・・しかもめっちゃフレンドリーだし。
「いきなり出迎えるなよ親父!わざわざ王宮の前に瞬間移動して来たのに・・・大人しく王座で待ってられないのか?」
「ははっ!早くエナちゃんと愛しのローゼに会いたかったからな。」
「そういうとこがおふくろにウザがられてるんだって!」
えっ?僕の事はさておき、ローゼ様に早く会いたいって、ラブラブでいいなぁって思ったんだけど・・・ダメなの?
「うん、国王なんだからケジメはちゃんとつけるべき・・・正直ウザいし。大人しく王座で待ってなさい。エナちゃんがびっくりしてるでしょ?ほら、レニとマニもよ?」
正論ですローゼ様。すみません、僕も公私混同してました。「正直ウザいし」は聞かなかった事にします。
「ごめんなさい母さん。わたしも早くエナちゃんに会いたかったの。
エナちゃん、わたしはレニ。ティムの妹よ。こっちは契約精霊で白龍のニーナ。よろしくね。」
「ティムの弟のマニです。レニとは双子なんだ。こっちは契約精霊で黒龍のニールよろしく。」
今まで口を挟めなかった僕はやっとあいさつをする。
「みなさま初めまして。魔族のエナと申します。こっちは契約精霊の白猫、ドナです。不束者ですがよろしくお願い致します。」
「キャ~!!エナちゃんもドナちゃんも可愛いっ!わたしも魔族の男を捕まえようかしら?」
「レニ、お前ベズはどうすんだよ?」
「え~、だってリム(ベズの契約精霊)はアジ ダハーカで可愛くないんだもん。ドナちゃんみたいなもふもふのかわい子ちゃんがいいなぁ。」
・・・えっと、とりあえず歓迎されてるみたいで良かった。
後でティムに教えてもらったんだけど、ベズくんは従兄弟でレニちゃんの婚約者みたいな存在なんだって。次代はレニちゃんが女王様になってベズくんが王配になるか、ベズくんが王様でレニちゃんが王妃様になる可能性が高いらしい。
もしくは、ドラゴンの寿命は長いので今のままボビー様が王様を続け、孫世代が次の王様って事もあるみたい。
うん。後継もしっかりいるようだし安心したよ。みんないいドラゴンだし、僕も上手くやっていけそうだ。
僕があいさつをし終わるとリン兄が続く。
「ドラゴン王族のみなさま、初めまして。僕はエナの義兄でリンと申します。こっちは契約精霊のユキヒョウ、ネルです。本日はワープポイント設置の為に来させて頂きました。エナ共々どうかよろしくお願い致します。」
「キャ~!!ユキヒョウ?すごく綺麗ね。リンちゃんもネルちゃんもよろしくねっ?」
とりあえずレニちゃんはもふもふ好きなんだね。雌のドラゴンに擦り寄られてネルの尻尾が丸まってるよ・・・見なかった事にしよう。ネルもなかなかプライドが高いからね。
「では国王陛下、早速ワープポイントの設置に取り掛かっても大丈夫でしょうか?」
リン兄は切り替えが早いし本当に頼りになる。
「おぅっ!よろしく頼む。では皆で王宮に入るか。」
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