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第2話

オメガか、とベータは思う。 小学校のクラスに一人二人の割合でアルファやオメガだと分かる子達がいた。 第二次性徴までは、それほどアルファもオメガもベータも変わらないのだ。 アルファだと判明した子が、オメガじゃないかと言われてたくらい、華奢で女の子みたいだったり、快活で元気だった子が実はオメガだったり、まだ子供の頃はわからない。 誰の家にでもオメガもアルファも生まれる可能性はあるし、可能性は誰にでもあり、なってみるまでわからない。 確かにオメガからはアルファやオメガが生まれやすい等の理由で、アルファやオメガの家系のようなものはあっても、やはりそういう家でもベータの方が多く生まれるものだ。 判明すると、アルファとオメガはベータ達とは違う学校に通うようになるから、そこからは人生が別れてしまう。 そこからは同じ立場で出会うことはほぼない、というのが正確だ。 アルファは特権階級として歩み、オメガはアルファを選ぶ。 オメガの相手を選ぶ権利だけは許されている。 そこだけは絶対だ。 少なくとも法的には。 「オメガはパートナーを決める権利があり、それは絶対である」となっている。 オメガの意志はパートナー選択において全ての点で優先される だが実際は、オメガに拒否されたアルファによるオメガ殺害等も問題になっているし、オメガを巡ってのアルファの殺し合い等も良く起きる。 アルファもオメガも増えないのは、殺し合うからだ、というのはベータが好むジョークだったりする。 とにかく、オメガはアルファ以外から徹底的に守られていて、ベータがオメガに手を出すことは極めて少ない。 稀にアルファを拒絶するオメガがベータと結婚する例はあるが本当に少ないのだ。 アルファとしては貴重なオメガをベータに渡すのは嫌なので、できるだけ隔離したいし、そうしているのが現状なのだ。 パートナーを選ぶ年頃のオメガ。 発情期か始まったオメガと出会うことさえ、ベータにはない。 20歳までにオメガは体内にカプセルを埋め込まれることによって発情期から逃れ、その間にパートナーを探すからだ。 パートナーを得てからカプセルを取り出し、発情期を番と共に迎える。 そしてフェロモンで番以外のアルファを惑わすことなく、安定した発情期を番と共に送るようになるものなのだ。 発情してエロいオメガとやりたいだけヤレる、というのは見つかれば規制されるようなエロ同人マンガの話だし、まして、ホンモノのオメガがエロ動画にでることなどはない。 アルファが許さないからだ。 オメガはアルファのモノ。 だから夜な夜な現れて、ベータを誘うオメガの話など。 嘘だと思っていた。

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