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夢
そして、家に着いてしまった
車の中で待って言われた
運命の番さんはドアを出て僕の助手席のドアを開けてくれた
僕に手を差し伸べてくれて、まるで王子様みたい…。いや、帝王だみたいだ
王子様はキラキラキラキラしてるけど、運命の番さんはどちらかと言うと、権力で何もかも握り潰そうと考えてそうな人
ま、帝王でも王子でもいいけど、僕は差し伸べられた手を握り返した
そして、ゆっくりと助手席から出た
運命の番さんは僕の手を握りながら反対側の手で助手席のドアを閉めた
手を繋いで、家の玄関の手前まできた
1つ質問があった
それはずっと聞きたかった名前だ
僕から話しかけることはあまりなかったので、恥ずかしさで下を向く
「あのぉ」
「ん?」
「名前を教えて欲しいんです…。」
「名前?」
「はい…。」
「そういえば、言ってなかったな」
「俺の名は八神 颯真(やがみ そうま)だ」
そ、そうまさん
かっこいい名前だ
「一応、名刺もあげる」
そう言い、渡された
「あっ、ありがとうございます」
渡された名刺を見ると、八神 颯真と書かれている上に八神グループ会長と書かれていた
か、会長…。
すごい方なんだね。きっと…
やっぱり、一般人の僕じゃあ釣り合わなかった
はっきり、わかった
3日間だけだけど人生最大の大恋愛は失恋だ
僕が名刺を見ていると、颯真さんに声をかけられた
「もう、今日は遅い…寒いし、そろそろ帰るよ」と言われた
引き止める口実…。
何も思い浮かばず、車に向かって行ってしまった
なにか言わないと…
「あの!」
「ん?」
「ありがとうございしました」
「あぁ」と言い、颯真さんは車に乗って静かに発進してしまった
それをボッーっと眺めていた
作り笑顔で何とか耐えれた気がするけど、車が見えなくなった途端、苦しくなって、胸がはち切れそうだった
いつの間にか好きになってしまった
エントランスホールで最初に会った時に一目惚れした
真っ黒な瞳に僕の心は奪われた
この人しかいないと思った
だんだん、思いが強くなって手を握りしめる
もう、今日でそれもお別れ
わかっていたけれど
秋の生暖かく夜の風が僕の頬に当たって冷たいのか、暖かいのか分からない
まるで僕の気持ちを表しているかのように
颯真さんに幸せになって欲しいなら僕はここで颯真さんとは会わない
けど、僕は強欲だから、やっぱり颯真さんと一緒に歩く未来が欲しい
横で笑って欲しい。僕のことを笑わかせて欲しい
僕の話を聞いて欲しい
手を繋いで一緒にお喋りして、ディナーなんかに行っちゃったりして…
それで夜は素敵なキスをする
僕のわがままだけど、僕だけを見て欲しい
他の人になんか笑わないでよ
お願いだから。僕だけを見てよ
両親の事故だって自殺するぐらい精神的に追い込まれたけど耐えたし、親戚中をたらい回しにされたって耐えたのに…
けど、もうそれも叶わぬ夢…。
僕は叶わない夢をひたすら見続けていた
だけなんだ
もう、あの人が僕の元に来ない…。
あなたのことが好きだから…。
愛してるから…。
だから、あなたの事を僕は追いかけません…。
幸せになってください
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