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第23話

 (とう)家の広々としたダイニングルームで、それぞれ与えられた席に着いた。  正面の主席に唐煜瓔(とう・いくえい)が座る。その右側に、わざわざ用意された子供用の椅子に座った煜瑾(いくきん)、その隣に恭安楽(きょう・あんらく)が付き添うように座った。 「文維(ぶんい)おにいちゃま~」  向かい側に座った文維に、煜瑾が甘えるように声を掛けた。大好きな文維を前に、嬉しくてならないという表情が、この上なく愛らしい。 「食事にしましょう」  唐煜瓔の一言で、淡々と夕食が始まった。  だが、その何でもない日常感に、(ほう)親子は戸惑いしか感じない。 「ところで…、煜瓔さん?」 「なんですか、お義母(かあ)さま?」  煜瑾と文維の関係に影響され、唐煜瓔も親身になって接する恭安楽を、いつしか「母」と呼ぶようになっていた。 「私たちの疑問には、いつ答えていただけるのかしら?」  動揺を隠しつつ、愛想良く、それでもどこか逸らせない圧力を感じさせながら、包夫人は唐煜瓔に迫った。 「疑問?」  愛くるしい煜瑾を、穏やかな眼差しで見守っていた唐煜瓔が、優しい笑顔を浮かべたまま、恭安楽の真剣な顔を見返した。  その美貌に、一瞬、包夫人もウットリするが、慌てて我に返った。 「どうして煜瑾ちゃんが、こんな姿になってしまったの?」  自分の話をしていることに気付いたのか、煜瑾は包夫人の顔を見上げ、嬉しそうにニッコリした。 「ああ、この現象に立ち会うのは、初めてなのですね」  あまりにも落ち着き払った唐煜瓔に、これが当たり前なのかと包親子は錯覚しそうだった。

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