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文維くんのこいびと 第23話 | 荷蓮花の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
文維くんのこいびと
第23話
作者:
荷蓮花
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23 / 31
第23話
唐
(
とう
)
家の広々としたダイニングルームで、それぞれ与えられた席に着いた。 正面の主席に
唐煜瓔
(
とう・いくえい
)
が座る。その右側に、わざわざ用意された子供用の椅子に座った
煜瑾
(
いくきん
)
、その隣に
恭安楽
(
きょう・あんらく
)
が付き添うように座った。 「
文維
(
ぶんい
)
おにいちゃま~」 向かい側に座った文維に、煜瑾が甘えるように声を掛けた。大好きな文維を前に、嬉しくてならないという表情が、この上なく愛らしい。 「食事にしましょう」 唐煜瓔の一言で、淡々と夕食が始まった。 だが、その何でもない日常感に、
包
(
ほう
)
親子は戸惑いしか感じない。 「ところで…、煜瓔さん?」 「なんですか、お
義母
(
かあ
)
さま?」 煜瑾と文維の関係に影響され、唐煜瓔も親身になって接する恭安楽を、いつしか「母」と呼ぶようになっていた。 「私たちの疑問には、いつ答えていただけるのかしら?」 動揺を隠しつつ、愛想良く、それでもどこか逸らせない圧力を感じさせながら、包夫人は唐煜瓔に迫った。 「疑問?」 愛くるしい煜瑾を、穏やかな眼差しで見守っていた唐煜瓔が、優しい笑顔を浮かべたまま、恭安楽の真剣な顔を見返した。 その美貌に、一瞬、包夫人もウットリするが、慌てて我に返った。 「どうして煜瑾ちゃんが、こんな姿になってしまったの?」 自分の話をしていることに気付いたのか、煜瑾は包夫人の顔を見上げ、嬉しそうにニッコリした。 「ああ、この現象に立ち会うのは、初めてなのですね」 あまりにも落ち着き払った唐煜瓔に、これが当たり前なのかと包親子は錯覚しそうだった。
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