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第1話 目障り以外の何者でもない奴

初めて見たこいつはただの雑魚以下だと思っていた。 接触してきた潔世一は俺の視界には入らないくらいの奴だった。 他人のテリトリーに土足で侵入しその中に自分の居場所を作る気なのか、もしくは技を盗むために観察でもするつもりなのか。 前者ならば二度とサッカーをやろうなどと思えないように潰す、そう思って俺は潔世一に相手をしてやった。 だが潔はその俺の裏を行く程真っ直ぐに向かってきた。 奴は後者の人間だった。 そして何故か俺は潔が後者だったことに安堵していた。 結局奴は俺にとって目障りでも何でもない存在だった。 「凛、また自主トレか?」 「お前には関係ない」 俺は今日も練習終わりにトレーニングにマットを広げた。 「程々にしないと身体が持たないぞ」 潔は俺を見てそう言った。 「持たないのならそれまでの身体だった。……ただそれだけのことだ」 「でも凛って少しやり過ぎだと俺は思うけど」 そう言いながら奴もマットを広げて俺の見様見真似のヨガを始めた。 「俺はお前が嫌いだ。馴れ合う気はない」 「知ってる」 奴は俺の側で技を盗む気でいる。 例え俺と同じ運動量(メニュー)を潔の身体に掛けても俺の技は盗むことが出来る身体にはだろう、それはきっと潔は分かっていることだろう。 それでも俺は自主練についてくる潔を拒むことが出来なかった。

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