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第31話
「潔おはよー。ちゃんと眠れた?」
「おはよ、相変わらず蜂楽は朝から元気だなぁ」
「もう昨日の夜から気持ちが昂ぶっちゃってさー」
早朝から五月蝿い奴等が目に入った俺は気分が最悪だった。
それでも今日はいつもより気分は良かった。
「それよりもさっきお嬢を見たんだけど、唇が切れててさ。蜂楽も頬が腫れてるけど、何かあった?」
「ちょっとしたケンカだよー。凛ちゃんもおはよー」
「……」
話を振ってきた蜂楽を無視して通り過ぎた。
俺の顔を見た潔は顔を歪めながら声をかけてきた。
「凛、……大丈夫か?」
「黙れ。お前には関係ない」
原因は俺の顔に青タンができていたからだろう。
「おれ達ケンカするほど仲が良いだけだよ〜。ね、凛ちゃん」
「五月蝿い。俺の視界から消え失せろ」
蜂楽と千切に喧嘩を売られるのも、俺がその喧嘩を買うのも、きっと絵心の想定内だったのだろう。
絵心はどこまで想定しているのか、俺達は知る由もない。
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