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第21話:聖なる性獣アキラさんちで 〜その2〜

 スタジオで水沢タクトとわかれた後、自然と三津屋アキラから部屋に来ないかと誘われ、その時のアキラの眼が、さりげなさを装いつつも結構マジだったので、俺は今ここにいる。  ミュージシャン専用の、全室防音のマンションだった。と、後から聞いた。  部屋は非常にきれいだった。玄関を上がると扉があって、そこを開けると右手にカウンターキッチン、その前にはこじんまりとしたソファとでかいBOSEのスピーカーが鎮座していて、その壁は一面レコードとCDで埋め尽くされていた。  そしてドアの左側には、今俺らがいる寝室と、その後披露されることとなる、カーテン付きのガラス張り防音室があって、アキラのドラムが置いてある。  っていうかゴミと音楽雑誌とCDとベースとベーススタンドとMTRとかサンプラーやらエフェクターでぐっちゃぐちゃの俺の自室とは大違いで、床にはほこり一つ落ちていなかった。あの三津屋アキラが掃除機ないしクイックルワイパーもしくは雑巾がけをしている姿を想像したらキュン死しかけた。  しかし、どう考えても一般の男子高校生が一人暮らしできる部屋じゃない。もしかして三津屋家は相当な経済力があるのか、なんて考えてしまう。

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