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第41話:天才幼稚園児の謎
タケルさんも俺もアキラも、その言葉の意味を図りかね、同時にタクトの表情、何より幼稚園児でも暗殺者モードでもない、初めて見るその眼に驚いていたら、タクトはテレキャスを置いて部屋から出て行ってしまった。
:「えーと、俺、怒らせちゃったかな」
「い、いや、タケルさんのせいじゃないと思いますよ。あの幼稚園児、普通じゃないんで」
「どうせアレだろ、人生初めての敗北で受け入れられないとかだろ?」
アキラはそう言ったが、
「だったら勝負がついた時点で出て行ってるはずだ。俺は、タクトくんに触れた瞬間、身体がこわばったような気がした。二人は普段タクトくんとスキンシップする? もし苦手なら、知らぬこととはいえ悪いことしちゃったな」
「え?」
俺とアキラは顔を見合わせた。
「俺らの中で一番スキンシップ好きなのアイツだよ、タケ兄」
「そうです。それに『混ざる』っていう言葉は——」
「ただいま〜」
「え」
「おかえり〜」
水沢タクトは何事もなかったかのようにへにゃへにゃと笑いながら戻ってきた。
「タカルさん! さっきの教えてください!」
「え、ああ、いいよ」
タケルさんも戸惑った様子だったが、タクトがテレキャスを構えて背もたれのない椅子に座ったので、タケルさんはさっきと同様後ろからタクトに正しいギターの弾き方を指摘し始めた。その度にタクトは『はぁ〜なるほど』とか『そうだったんだぁ』といった幼稚園児語を漏らしていて、その声は温度が高く、非常に楽しんでいるように聞こえた。
俺らとしては彩瀬タケルさんに三人の演奏を聴いていただきたかったのだが……
「僕、今日これ習う! 解散!!」
えーーー
「タケ兄がまた来れるならいいけど——」
「ん、いいよ。明日も夕方なら平気」
というわけで、幼稚園児に初めて俺ら以外の保父さんができました。
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