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牡丹の闇 五
ああいう場面が好まれて芝居で演じられるということは、人には誰しも、美しくあえかなものを苛めたくなるという加虐の嗜好があるのかもしれない。
望は左手で胸をおさえ、無意識のうちに右手で股間をおさえていた。
(あっ……、だ、だめだ、ここでは、駄目だ)
そうは思っても、少年の本能は、勇に乗りうつり、芝居のなかの悪役たちのように、美しい遊女や姫君を折檻する興奮に歓喜をおぼえていた。
「ち、違う! か、彼女とは……ちがう……。そ、そんな関係ではない」
「嘘をつけ! 関係がない女がなぜ一緒に死のうとするんだ? まだ嘘を言うのか?」
勇は足で仁の背を蹴った。
今回もそれほど力を入れているようではないが、仁のような生来気位たかい男にとっては耐えがたい侮辱だろう。
「ああっ」
ふるえる仁に、同情と欲望を感じて、望は両手で自分自身を抱きしめていた。
(仁さんに酷いことをしないで……。ああ、でも、仁さんをもっと泣かしてみたい)
「まったくおまえは見かけによらずとんでもない淫乱で強欲だな。どれ、見せてみろ」
「ああっ! や、やめろ!」
仁の泣くような悲鳴を無視して、勇は仁の後ろの中心を覗きこもうとする。
「あっ、ああっ! だ、駄目だ!」
「こら、逃げるな」
「よ、よせ!」
自由をうばわれた身体で、必死に仁は逃げようとするが、左の尻たぶをわしづかみにされ、動きを止められる。
「ふうむ……。いい塩梅 にほどけているな。すっかり呑み込んでいるではないか」
「や、やめっ……!」
勇は、淫らな道具の持ち手の部分をつかみ、わずかにだが引っ張る仕草をする。
だが、わざと力を入れずに、引っ張るふりをしているだけだということが、望には直観的にわかった。
「おや、おまえの蕾は、しっかりと呑み込んで出したがらないぞ。おまえの花は本当に貪婪だな。くくくくく」
「はぁっ……」
「ほら、もっと尻をあげて脚をひらけ」
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