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第1話 プロローグ1

 話は僕がギリギリ高校生の時だった頃まで遡る。  卒業式を明日に控えた日。  僕は学校の校舎裏に呼び出されていた。  僕を呼び出したのは僕の幼馴染で、同級生である遠野北彩(とおのほくさい)だった。  遠野は奇抜な名前がコンプレックスにならないくらい容姿端麗であった。  おまけに長身だ。  僕からすれば、それはとても羨ましいもので、幼い頃より俺は遠野に憧れにも似た思いを抱いていた。  そんな幼馴染が何故にこんな寒空の下、古びた校舎裏なんかに僕を呼び出したのかはその時は不明であった。  何せ、朝起きたらチャットで、校舎裏まで来い、と突然呼び出されたのだ。  何用かと訊いたが返事は貰えなかった。  僕はまだ眠い目を擦りながら出掛ける支度をして今、此処にいる。  待ち合わせ場所が学校という事もあり、僕は制服を着ている。  この制服とも明日でお別れか、と思うと僕は心底はホッとした。  僕は学校が苦手だった。  ずっとクラスメイトに……学校という組織に馴染めないでいた。  それで一年から不登校気味になってしまった訳だが。  そんな僕がこうして無事卒業式を明日迎えることが出来るのは僕を引きずってまで学校まで連れて行ってくれた遠野のお陰だった。  遠野が同じ学校でなかったら僕はとっくに高校を辞めていたに違いない。 「遅いな」  そう呟いて地面を見る。  早朝、雨が降ったらしく地面はぬかるんでいる。  茶色い土の色が濃い。

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