がくがくと顎を震わせていた枢流は、怪訝そうに、力ない視線を沙羅衣に向ける。 「わる……さ？」 「おれの処女がどうとか、言っていただろう。さっき」 「悪さじゃありません。愛の営みでしょう……ほら」 「あっ！？」 　枢流が、左手を伸ばし、沙羅衣のボクサーパンツの中へまたも指を滑り込ませた。 「ほら、先輩、ぼくを見て……こんなに」 「う……」 　さっきまで、中途半端な与えられていた快感が、沙羅衣の中で再び頭をもたげ始めた。 　もとより、ペニスは完全に固くなってしまっている。 　沙羅衣自身、人の痴態を見ることで、こんなにも興奮するとは思わなかった。勃起の中心に芯が入ってしまって、容易には収まりそうにない。 （それでも、あれだけ射精してしまえば、そう簡単には妙な気は起こせないはずだ。） 　そんな油断から、思わず数秒間、棒立ちのまま沙羅衣は枢流に身を任せてしまった。 　する、とボクサーパンツが脱がされたのは、まさにその油断をついてのことだった。 「あっ？」 　あむっ。 　快楽の塊のようなぬるりとした温度に、いきり立った急所が包まれてしまうと、沙羅衣はもう抵抗の余地がなくなってしまう。 　さらに、きつく吸い込みながら舌が激しく前後に動き、裏筋を向き上げるように舐められると、あっという間に沙羅衣は追い詰められていった。 　ぬる、ぬちゅ、ずちゅ…… 「あ……ああ……！」 　卑猥な音を立てて、そのくぐもった音色とは不釣り合いな巨大な快感が、性器から送り込まれてきた。 　少しでも足の力を抜けば、その場に倒れこんでしまう。 　沙羅衣のかかとがわずかに浮き、足に力を込めて、つま先立ちで立ちつくすしかなかった。 　シャツのすそから覗く、見慣れたはずの自分の性器が、いつもよりもひどく太く、いやらしく見える。 　それを真正面からくわえ、根元近くまで飲み込んでは繰り返し前後しているのが、彫像のように美しい枢の顔のため、なおさら興奮が煽られた。 　――あんなきれいな顔をした枢流の口に、おれの、あんなにいやらしい形になったものが、あんなに奥まで…… 　枢流の両腕はそれまで沙羅衣の両足に片方ずつ添えられていたが、それがしゅるしゅると、肌の表面をなぞりながら上昇してきた。 　シャツの中に潜り込み、沙羅衣のわき腹を軽く指先でさする。 　くすぐったさで沙羅衣の口から息が漏れた瞬間に、さらに両手は上昇し、指で沙羅衣の胸の先端を軽くつまんだ。 「んッ……」 　ペニスに比べれば快感の量は低いとはいえ、ここも立派な性感帯である。 　枢流の指は、たくみに乳首を左右にはじき、かと思えば指の腹を使って上下にさすってくる。 　ぞわ、と沙羅衣は鳥肌を立てた。それが不快感のためでないことは、沙羅衣自身がよく分かっている。 　沙羅衣の意識が乳首に向いた直後、枢流は口での吸引を強めた。 　舌に込める力も増し、沙羅衣の裏筋を蹂躙する。 「くあッ？」 　そうして沙羅衣の注意が下半身に向くと、今度は枢流は爪の先で、乳首を軽くつまみ上げた。 「う！」 　それから今度は、またペニスへ。 　快感の震源地がハイスピードで上下し、沙羅衣は完全に振り回されていた。 　おかげで、常に防御力がゼロの状態で、枢流の愛撫を不意打ち状態で受け入れてしまう。 　限界が早まるのは、当然だった。 「あ、あっ！　い、いく！　このままだと、もういくッ！」 「もうですか……？　ふふ、先輩、ずいぶん打たれ弱いんですね……」 　枢流は、器用に、沙羅衣をしゃぶりながら返答した。 「き、君が、そんな技を……使うから……！　あ、ああ、裏、裏のところを……そんなに……」