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恋かわかんない。

「ゆーちゃん!!拓也くん来てるよ〜」 「うう……」 「ゆーちゃん??」 「う……はっ……」 「入るよ〜」 「はぁはぁ……」 「え?大丈夫??すごい熱……拓也くん!!悠が熱出したみたいで!!先いってて!」 身体が……熱い……なんで??ヒートは……3日後……なのに…… ドタバタ…… 「悠!こっち見えるか?」 「た……くや??」 「……発情期か??」 「……まって……拓也……離れないと……」 「それなら大丈夫。キツめの薬飲んでるから、運命の相手じゃない限り効かない。」 僕らは、運命の相手……じゃなかった……のか。 「待ってね。ルカ……呼ばないと……」 「いやだ……早く……抱いて」 「え?……でも、ルカ……が」 「……」 こんなの……自己中だよな……拓也がいいとか……困るよな?? 「悠は!?」 「あっきた……」 ルカ……来たんだ……玄関から声がする。 「あっ、お母さん!あの、、息子さんを……少し、借ります……」 「うんうん。分かったわ。でも、学校は……??」 「大丈夫です。何とかなるんで。」 「そ……なら、頼んでいいかしら……お名前は……」 「樹です。」 「そう。樹くん……よろしくね。」 「はい!!」 んっ……誰かに抱えられる…… 安心する身体…… 1週間前も……この体に抱きしめられた…… 「い……つき??」 うっすら目を開くと樹の顔が見える。 「はぁはぁはぁ……」 「なんで……発情したんだよ……?」 「わ……かんない……樹……大丈夫?」 「大丈夫じゃねぇよっ……結構キツめの薬飲んでるのに……」 「……え?」 樹が……僕のフェロモンで…………? もしかして…… 「運命……の相手……」 「は?んなの……どーでもいいよ。もうすぐで店つくから我慢しろ……」 樹が僕の運命の相手…… 拓也じゃなかったんだ…… どうして…… なんで……?? 「はぁはぁはぁ……」 また、身体を重ねてしまった…… 「んっあっ……」 好きでもない相手と…… 「……っ……はぁ……」 「……っ待って……痛そう……」 樹は、僕のうなじを間違って噛まないように、何度も何度も自分の手を噛んだ。 「…………」 うなじを噛まれると、番になってしまう。 でも、番になれば……楽になれるのか…… 樹と番にさえなれば…… 「樹……噛んでいいよ?」 「はぁはぁ…………」  樹は、噛まなかった。 最後まで噛まなかった。 自分の手を何度も何度も噛み砕いて、苦しかっただろうに…… 僕は樹の寝顔を見ながら、ゆっくりと眠りについた。 「おい……起きろ……」 「んっ……樹……?」 「ああ。うなじ……は?」 「大丈夫。樹は噛んでないよ。」 「はぁ……良かった。すまんな。びっくりさせて……」 なんで樹が謝るんだよ…… 「僕が……悪いんだ…… 僕がΩで…… 発情期になって……好きな人……を忘れようと、樹にうなじを噛んでといった。 でも、樹は、そんな僕の言葉を聞かず、自分の手を何度も噛んだんだ。」 僕は、ゆっくり樹にそう伝えたあと、樹は、大きく頷き、下を向き、呟いた。 「初めてなんだ。」 「え?」 「初めてなんだ。薬が効かなかったのは……」 「薬が効かないって……あれしかないよね……」 「ああ。お前が車の中で言ってた通り……」 「「運命の相手」」 やっぱ、そうだよな…… 「……」 「大丈夫だ。悠……これまで通りにするし……心配すんな!別に運命だからといって付き合うとかはないしな!安心しろ!」 「樹はそれでいいの?」 「俺は……仕事だから。気にすんな。」 そっか……仕事……か。 「ありがとう。」 「ああ。」 「出来れば、拓也には言わないで。バレたくないんだ。」 「分かった。」 拓也にバレたら……僕から拓也遠ざかっていくかもしれない。 そんなのは絶対嫌だ。 これは、全部僕が始めた物語。 僕が、自己中だから……僕が全て悪いんだ。 最初も僕が拓也の前で、オメガになった。どうしよう。とか言ったから拓也は、僕に樹を与えた。 そんな、樹は、僕と関わったせいで、運命の相手だと知ってしまった。 樹も、拓也も、お母さんも、みんな僕がこれからどんどん不幸にしていくんじゃないか…… そんなことまで考えてしまう。 でも、樹は、そんな僕を見て、安心しろと言ってくれた。 安心していいのかな……。樹にすがっていいのかな……? 「樹……」 「大丈夫。安心しろ」 安心……安心…… その後も、樹は、泣いている僕を何度も抱きしめては、安心しろと言ってくれた。 「うーん、悠くん。君は、まだ発情期が安定してないみたいだ。Ωにも、女性が子供を産む時と一緒で、安定期ってのがあるんだ。発情期が安定する事ね。」 ……そうなんだ。 僕は今、店長に相談をしている。 拓也に相談をできない今……頼れるのは……店長だけなんだ。 店長は、もうパートナーがいる立派なαだ。 だから、僕の発情期が来ても対応してくれると言ってくれた。 「ルカ……お前は今後どうする?」 「え?」 「運命の相手と接触したあと他のやつは抱けない。」 「どうして?」 「俺がそうだったからだ。」 え……それなら……樹は、ここを辞めないと……いけないってこと? 「俺も運命の相手と接触……性交をかわした時、まだ18の子だったから、さすがにやばいと思って、すぐに店に戻って普通のようにしていたんだ。だがな、無理だ。」 「なんでですか?」 「すぐにわかるだろう……」 すぐに分かる…… 「2人は付き合う気はないの?」 「ありません……!!」 「そう。なら、尚更だね。付き合わない……番にならないなら………悠くん以外抱かない。とかも、ありだよ?ルカ……」 「……それは……」 「……よく考えなさい。」            

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