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第10話
冬弥side
あー、手を切っちゃった。保健室…あっ、でも、今日保健室の、先生休みだっけ?
せっかく来たのに!
「まだだよ。これで許して貰えるほど俺は優しくはない。」
って、あれ?誰かの声がする…
え?あれって辰巳と夏芽くんだよな?
何してるんだろう…
「あっ、夏芽!!も…ゆるひて…ダメ!もっ…イク…。」
あれって…性行為??
違う。これは、非合意ではないか…
辰巳は、嫌がってる…止めに入らないと…止めに
ダメだ。体が動かない。
クソ…ッ。
「んっ、…な…なつ…め??」
「続きは家でな。チャイムがそろそろ鳴る」
「うん」
今、廊下の方を見てたよな…でも、この時間保健室には誰も来ないはずだ。先生は今日は休みだから鍵は俺たちがとってきた。
「ほら、そんな顔を他のやつに見せたら、お仕置が増えるだけだよ。ちゃんと抑えて。」
「ちょ…」
そんな顔?え?俺って今どんな顔して…
「うわぁ。」
鏡を見て気づいた。俺…女のコみたいな顔してる!?
これが今の俺なのか!?
「…早く行くよ」
「おう。」
キーンコーンカーンコーン
「はぁ…ギリギリ!冬弥間に合ってたよな?笑」
「…うん。ギリギリだったね」
ん?なんだろ。冬弥ちょっとソワソワしてる?
よそよそしいような感じだ。
「えっとさ、辰巳…そのさ、夏芽くんとは付き合ってるの?」
「え?…」
「いやさ、さっき保健室で…」
「見たの?」
「うん。見ちゃった…」
「…うーん、」
付き合ってるって正直に言うべきなのか?でも、言わないと夏芽がレイプしたってことになるよな。…でも、男と付き合ってるとか言いたくない…
「付き合ってるよ。」
どうしようか悩んでいると、隣から声が聞こえてきた。
「なぁ?辰巳??」
「あっ…ああ。」
これズルくないか?
絶対言わなきゃダメみたいな雰囲気出しやがって…
「そっか。でも、激しいプレイは、家でしないと。もし、見に来たのが、俺じゃなかったら大変だよ。」
「うん、次から気をつけるね」
やっぱ、冬弥は良い奴だ。
なんで、夏芽が嫌がってるのか分かんない、一生分からないような気がする。言われるまでは…
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