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第15話
ティッシュボックスから何枚かティッシュを抜き取ると、邦彦は唾液と体液にまみれた時生の今はもうぐったりしたモノを丁寧に拭い、下着の中に収めてズボンのジッパーを上げた。
時生は、邦彦がそうしているのを、ソファーに深々と体を沈め涙目の不機嫌な顔で見ていた。
「どうした?機嫌悪そうだぞ」
平然とした顔でそんなことを聞く邦彦に、時生は苛立った声を出した。
「こんなことは頼まれてない」
「うん、そうだな。嫌だったか?」
唇を拭いながら、邦彦が真面目な顔で聞いた。
ヨーロッパの騎士の様な高貴に整った顔で嫌だったかと聞かれると、キスと同じで気持ち良かった し、嫌だという理由もないような気がする。
「嫌じゃないなら、楽しんどけよ。気持ちいいなら、役得だろ」
そう笑うと、邦彦は時生の上にかがみ込み、チュッと音をさせて唇に軽くキスすると立ち上がった。
時生は邦彦に丸め込まれたような、釈然としない気分でよろよろと体を起こした。
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