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第16話

邦彦はゲイなのだろうか。 授業中で、先生が黒板に字を書き殴りながら熱心に喋っていたが、時生はシャーペンの頭をかじりながら、そんなことを考えていた。 練習という名目でキスをし、手や口で時生のモノを抜いてくれた。男の邦彦にそんなことをされても全然嫌じゃない自分の方が怪しいのかとも思った。時生には、邦彦に言いそびれたちょっとした秘密があるのだが、邦彦の性別が今はもうあまり気にならないのもそのせいか、と思ったりした。 キスの練習と言ったが、テクニックの練習ではなく、邦彦がやっているのは相手を少しでも多く気持ちよくする練習みたいだ。いつか邦彦にも本命の恋人が出来る。邦彦にあのキスと心を捧げられる相手はどんなに幸せなのだろう。自分が練習に付き合っているだけの立場なのがなんだかちょっと切なくて、自分も早く恋人を作らなくては、と時生は思った。 先生にどうやら当てられたようだが、時生の心はここに無かった。返事をしない時生に向かってだんだんボルテージが上がっていく先生と、それに全然気づかない時生の様子をクラスメートたちはハラハラしながら見守っていた。

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