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第17話

放課後になり、授業を上の空で受けていたことで先生に軽く説教され、少し遅れ気味に生徒会室に向かった。 生徒会室の引き戸の前で、尾崎と黒木が中を伺っていた。 「何してる…」 「シッ!」 話しかけた時生に、尾崎が慌てて人差し指を立てて黙るように身振りで示すと、中を指差しながら声を潜めて言った。 「森井が告られてる」 「へえ?」 尾崎たちが覗いていた隙間に、時生も目を当ててみた。 狭い隙間から邦彦は見えたが、相手はよく見えない。髪を肩まで垂らした小柄な女子だということは分かった。 彼女は邦彦に何かを渡し、邦彦は特に何の表情も浮かべず淡々と受け取った。彼女はぺこりと頭を下げると、時生たちが覗いていたのとは別のドアから出て行った。 尾崎と黒木はドアをバンッと開けると部屋に雪崩れ込み、邦彦に何を貰ったのか問い質していた。邦彦が貰ったのは手紙のようだった。アドレスでも書いてあるんだろ、と開けてみようとする二人から手紙を取り返すと、カバンの中にしまった。邦彦はクールな外観と違い、女子に対しては至って親切な男で、手紙など処理に困る物を押し付けられても粗雑に扱うということは無かった。 邦彦がそういう男だと分かっていたし、女子に告られたりプレゼントを貰ったりしてるのを何度も見たことがあったし、気にしたことなかったのに、今日はなぜだか傷ついた気分な自分に驚いていた。

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