29 / 29

第29話

「…ごめん」 「時生、俺が好きか?」 「…多分」 「多分ってなんだよ」 「お前が好きなのか、キスとかエロいことをお前とするのが好きなのか、分かんない」 邦彦にギュッと抱きしめられ、興奮した気分を宥めるように優しく頭から背中を撫でられた。時生はトロンと落ち着いて、邦彦にぐったりと体を預けた。 「時生、もう絶対に不安にさせたりしない。お前が望むだけキスでも何でもしてやる。 自分で処理するなんてこと、二度とさせない。いつでも俺がやってやるから!」 邦彦に抱かれて赤くなっていた時生の顔が、少し白くなった。 親友が恋人になって、邦彦のタガがどうやら外れたらしい。 この先何をされるのか、別の意味でちょっぴり不安になって固まっている時生に、邦彦は最大限の愛情を込めてキスをした。 〈了〉

ともだちにシェアしよう!