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第29話
「…ごめん」
「時生、俺が好きか?」
「…多分」
「多分ってなんだよ」
「お前が好きなのか、キスとかエロいことをお前とするのが好きなのか、分かんない」
邦彦にギュッと抱きしめられ、興奮した気分を宥めるように優しく頭から背中を撫でられた。時生はトロンと落ち着いて、邦彦にぐったりと体を預けた。
「時生、もう絶対に不安にさせたりしない。お前が望むだけキスでも何でもしてやる。
自分で処理するなんてこと、二度とさせない。いつでも俺がやってやるから!」
邦彦に抱かれて赤くなっていた時生の顔が、少し白くなった。
親友が恋人になって、邦彦のタガがどうやら外れたらしい。
この先何をされるのか、別の意味でちょっぴり不安になって固まっている時生に、邦彦は最大限の愛情を込めてキスをした。
〈了〉
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