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第28話
邦彦は、興奮している時生の顔に両手を当てて、じっと目を見つめて言った。
「時生、好きだ。最初に話しかけて来てくれた時から、お前の姿を見る度に、だんだん好きだという気持ちが強くなって来て、あんな理由ででもキスくらいさせてもらわないと、お前を襲ってたかもしれない」
「…怖い」
小さな声で呟いた時生に、邦彦は苦笑いを浮かべた。
「…嘘だよ。お前に告って振られて、友達でもいられなくなるのが怖くて、練習なんてごまかして。嫌がってるかもと思ったら、もうそれ以上何にも出来なくて逃げちまうようなビビりなんだから、襲ったりしない」
「意気地なし」
「だよな」
「…オレも」
「うん?」
時生が邦彦の首に腕を回し、顔を近づけて言った。
「オレも何にも言わなかった。ただの練習相手と言われるのが怖くて。
お前が告ってくるの待ってた。オレもビビりだから」
時生は邦彦の唇に自分の唇を触れさせた。時生からキスしていったのは初めてで、思った以上に恥ずかしくて真っ赤になって顔を伏せた。
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