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第27話

「そうなんだろ。オレをからかって遊んでたのか」 「嘘をついたのは事実だけど、からかってなんかない」 時生を抱き寄せながら、邦彦は言った。 「女子と付き合ったことがないのはホントだ。でもキスしたことないってのは嘘。俺はモテるからな」 時生が邦彦から逃れようと身じろぎしたので、邦彦は抱きしめる腕に力を入れた。 「でも、親友のお前とキスしたいなんて、ああでも理由つけないと言えなかった」 時生が顔を上げた。 「お前が好きだ…」ガツッ‼︎ 邦彦が言い終わった瞬間、時生が邦彦の顎に頭突きした。 「っっいってえ…」 顎を押さえて悶絶する邦彦に、自分もすごく痛くて、額を押さえながら目に涙を滲ませた時生が怒鳴った。 「好きなら好きって言え!オレ、ずっと不安だったんだからな! お前がどんなつもりでキスして来てんのか全然わかんないのに、されればされるほど気持ち良くなってしまって、体もどんどんおかしくなるし…! 怖くなってちょっと引いたら、お前の方がドン引きしやがって! 何で勝手に始めて勝手に終わらしてんだよ‼︎」 時生は邦彦の胸倉を掴みながら、額の痛みだけではない涙を流しながら叫んだ。 「ちゃんと告ってくれないと、オレはどうすりゃいいんだよ‼︎」

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