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第7話
(今日は晴れています………)
杉原先輩と両想いになってから、私は晴れていてもそんなに嫌いではなくなりました。
かといって、思い出やトラウマがあるわけなので、好きにはなれないですが。
今日は金曜日で、明日は土曜日です。ですから、私ははじめてお泊まりをします!!杉原先輩には内緒で、先輩のお母さん『小雪さん』のご自宅にお泊まりをすることになっていました。
実は初めて小雪さんにお会いした時に、こっそりと連絡先を書いたメモをくれたのです。私には悩みを聞いてくれる親しい人はいないので、小雪さんは気を使ってくれたのでしょう。
昨日の夜に小雪さんに連絡先をしたら、やはり杉原先輩は私を送り届けたあとに、ご実家で毎日『茶道の修行』を茶室でしていました。
そしてお茶室にいるときに母屋に入れば気づかれないだろうと、小雪さんは手を回してくれたのです。ですから、私は今日が晴れていても大丈夫なような予感がしてました。
予感が的中してくれたらいいのですが……。
何時ものように杉原先輩は早朝から迎えに来てくれました。
一緒に登校している最中、人生初の私の家の所有地ではない場所での内緒のお泊まりに半ば緊張しながら歩いていたら、いきなり先輩に何か気付かれてしまいました。
「叶、なぁーんか隠してるでしょ?」
っ……え?!私はそんなに分かりやすいですか?!
「なっなにがですか?」
私はしらを切ることにしました。『場の空気を読む』先輩にはいつもの私ではないことは既に分かっていても、この事を話すことは出来ないのです。
「俺には隠してほしくないかなぁ?」
私だって隠したくないです。ですが私は杉原先輩が知りたいんです。ですが、先輩だって言ってくれないことも、教えてくれないこともあります。
なので私はこう答えました。
「……私にも、言えないことがあります」
今は言えないですし、今は聞けないです。私は……怖いんです。まだ自分自身に勇気が持てないから無理なんです。
「まぁ、そぉーだねぇ」
それでも……、
「ですがいつか、……自分の気持ちに整理がついたら伝える予定です」
私がそう返事をしたら、杉原先輩はあの困った笑顔で言うんです。
「叶は強いね」
「……私がですか?」
私は杉原先輩の予想外の言葉にとても驚いてしまいました。いつも強く、引っ張ってくれるのは杉原先輩で、いつもいつも私を助けてくれるのは先輩のほうなんです。
「……杉原先輩は強いです。いつも真っ直ぐで優しくて、同じ男として憧れます!!」
ですから私は杉原先輩が『好き』なんです、……なんて恥ずかしくて言えませんが。
「俺は優しくなんてないよ?叶に酷いことシたいって、いつも思ってるサイテーな男だから」
私に酷いこと……ですか?
「それは無いです。杉原先輩は私に酷いことはしません」
「まさかそれ、ホントに思ってたりするの?」
……酷いというのかは分かりませんが、今までのことを思い返してみると……、押し倒されてしまったり、意地悪されてどうしたら良いのか分からなくなったりはしました。
「……あ、あの卑怯だなとか、ズルいことはされたかもとは思いますが」
いきなり洋服の下に手を入れたり……、あの更衣室の処理とか……。思い出してしまったら恥ずかしくなってきてしまいました。顔が熱くなって、心臓が早く動き出してしまいました。
「あー叶、やらしいこと思い出してるデショ?顔真っ赤だよ」
「訂正しますっ!!杉原先輩は酷いです!!」
「うん、俺は酷い奴だよ。叶もやっと分かってくれた?」
……え。何故先輩はそんなに切ない表情をするんですか?
それは一瞬のことでしたが、私は見逃すことが出来ませんでした。咄嗟に杉原先輩のブレザーの裾を掴んでしまいました。
「叶?」
「……嘘です。杉原先輩は酷い人じゃないです!!」
杉原先輩は絶対に酷い人なんかじゃないです。それは私は痛いほど分かってるはずでした。今私は絶対に酷い顔をしています。……酷いのは私のほうです!!
「……ホントに馬鹿な叶」
先輩は困ったように笑うとゆっくり歩き出したのですが、いつもの『おいで』の言葉はなくて、私は俯き数歩後ろを歩き始めました。
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