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第12話

そのあと内緒にしていたら何かと訊問を受けそうなので、五時限目と六時限目の休み時間に小雪さんは杉原先輩に私が早退してここに居ることを連絡してくれました。先輩はかなり心配していてくれたようで、六時限目を早退してこちらに来るというのを、小雪さんは『母親』という特権で制してくれました。 小雪さんは急なお客様が訪ねてきたらしく、『お茶の用意があるので』と私に小雪さんの部屋にいても大丈夫ですから、と言われて私はお言葉に甘えてそうすることにしました。 その時に丁度私のお腹の虫が鳴いてしまいました……。 そういえば、お昼ご飯を食べていなかったのを思いだし、私はスクールバッグからお弁当とタンブラーを出して食べ始めました。 (手を出せない杉原先輩が……可哀想、ですか) 確かにそうかもしれません。杉原先輩は私の『好き』の気持ちを待ってくれて、今身体を繋げる『合意』の気持ちを待ってくれています。身体の構造上男同士でどう繋げるのか、以前更衣室で鈴木先生から助けてくれたときより先に進むことが私は正直怖いのです。 これで……その『杉原先輩の恋人』なんて、言えないかもしれません!!先輩は今まで多くの人と『情事』を行ってきたのですから。もしいつか私を好きではなくなってしまい、私はどうしたらいいんでしょうか、……なんてネガティブに考えていられないです! そう思いながら、私は光さんからいただいたラムネ菓子を1つ開けて三個一気に口に含みました。 (私は先輩に好かれているラムネ菓子になりたいです) ……? 「……あれ」 ラムネ菓子ってこんなに薬のような味がしましたっけ?私は可笑しいのでしょうかと思いつつもタンブラーの紅茶で流し込みました。 「あー、飲んじゃったね。まさか一気に三錠飲んじゃうとは思わなかったけど」 部屋を覗いていたのは光さんでした。何を言っているのか分からなくて、私は疑問に思いました。 「三錠って、ラムネ菓子ですか?」 光さんはにっこり笑って 「ホントはその媚薬なんだ。俊に使って笹倉くんを襲わせるつもりだったんだけど、こっちの方が面白そうだから使ってみちゃった。ごめんねぇ」 ……え?媚薬ってなんですか。 「即効性だからそろそろ効くんじゃないかな?」 「あ、……あっ何ですか。これ……」 身体に…何か……朝勃起ちよりも凄いものが身体に走りだし……疼きはじめてきました。……下半身が、……性器が、おかしいです。 「俊のスマホの留守電に伝言入れておいてあげるよ」

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