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第28話

「こんな隅にしゃがみ込んでどうした? 気分でも悪いのか?」  いつの間に入室してきたのか、心配そうに顔を覗き込んでくる王子にゼノンは顔を真っ赤にしながらもブンブンと首を横に振った。すると何かを悟ったのか、苦笑した王子はこともなげにふわりとゼノンを抱き上げる。突然の浮遊感に、ゼノンは思わず王子にしがみついた。  先ほどゼノンが見るに見れなかった巨大なベッドにゆっくりと痩身を横たえると、王子は覆いかぶさって愛し気に頬を撫でる。 「やっと君をこの手に抱くことができる。それにしても、随分可愛い恰好をしているね」  蝶の羽のように、ふわりとシーツに広がる真白な夜着にゼノンはますます顔を赤くして逃げようと身をよじらせるが、王子がそれを許すはずもない。 「あんまり、見ないでください……」  恥ずかしくて恥ずかしくて、消え入りそうな声でゼノンは訴えるが、王子は微笑みながらゼノンの額に、鼻先に、頬にと口づけを降らせる。 「それは無理な話だ。こんなに可愛いゼノンを見ないなんて、できるはずがない」  甘く囁いて、胸元のボタンをプチ、プチと外していく王子に、ゼノンはふと不安を覚える。  王子は確かにゼノンのことを愛していると言ってくれたが、どう頑張っても出会いが女装姿で、王子はそんなゼノンを女性と信じて疑っていなかったという事実は覆せない。服を纏っている時は化粧をしているか否か、服がドレスか否かという違いしかないが、何も纏わない身体は間違いなく王子にゼノンが男であることを突きつけるだろう。女性のように豊かな乳房はなく、下半身には女性に無いものが存在している。それを見た瞬間、王子は欲を無くすのではないか。  グルグルと不安で考え込んでいるゼノンを緊張していると思ったのか、王子はゼノンの緊張をほぐすように優しくゼノンの唇をついばみ、白銀の髪を撫で、はだけた胸元を撫でる。不安は消えないがむずむずと知らぬ感覚が押し寄せてきて立てた膝をこすり合わせた時、それに気づいた王子はどこか意地の悪い笑みを浮かべた。 「せっかく可愛い恰好をしているし、少しこのままで」  何を言っているのかわからずボンヤリとしているゼノンの両ひざに手をかけて開かせた王子は、あろうことか夜着を少し捲って頭を潜り込ませた。

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