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第30話

「あッ……、まってッ、アッ、やッ――!!」  慣れぬ快楽に身体は逃げようとするが、王子がしっかりとゼノンの太ももに腕を回して引き寄せているため腰を浮かせることもできず、ただ王子から与えられる強い快楽に身悶えることしかできない。 「アッ! まってッ! 何かがッ……、ヤッ! アッ! まッッ――アァアッッッ!!」  待ってというゼノンの言葉に王子はパクリと花芯を咥えこみ、ねっとりと舌を這わせる。その瞬間、ゼノンの甘い悲鳴と共にビュクッと熱い飛沫が王子の口内に放たれた。それを王子はまるで甘露でも味わうかのように、コクリと飲み込む。ガクガクと震える内ももに幾度か口づけをして、ようやく王子はスカートの中から顔を出した。見つめた先には、顔を真っ赤にして涙目になりながら熱い吐息を零すゼノンの姿がある。あぁ、やっぱり淫らな欲に翻弄された彼の姿も美しい。王族に献上されるどんな宝石よりも、ずっと輝いている。 「……ぁっ……、こんな……」  熱く荒い吐息を零すゼノンに覆いかぶさり、王子は優しく白銀の髪を撫でる。頬や胸元をゆっくりと唇で撫でながら、ゼノンの両足を掴み、グイッと押し上げた。その瞬間、長いスカートが捲れ上がり腹部に溜まって、濡れそぼった後孔は王子の眼前に晒される。 「いやッ……、こんな……へんたいぃ……」  混乱と羞恥のあまり王子に言うには随分な言葉をゼノンは零してしまうが、出会ったその時に〝この世の者ではございません〟と言われた王子としては、この程度の言葉は可愛らしいとしか思わない。 「こんな風になるのはゼノンに対してだけだ。どこまでも快楽に濡れさせて、恥ずかしがらせて、乱れさせたくなる」  その言葉にゼノンは荒い吐息を零しながら瞬く。  ゼノンに対してだけ欲を覚えると言われるほど愛されていることに喜べば良いのか、変態的なことをしたいと思われることに嘆けば良いのか。  しかしそんなことをじっくりと考えるほどの時間は、与えてはもらえない。

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