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第32話

「ゼノン、ゼノンッ、一緒に――ッ」  王子のそれがグッと突き挿れられる。最奥を突かれたその時、ゼノンの欲が弾けた。 「アッ! アアァァァ――――ッッッ!!」  ゼノンの中が余すことなく熱い何かに埋め尽くされる。その熱を中に感じた瞬間、ゼノンの身体が温かなものに包まれたような安堵を覚えた。それはまるで柔らかな日差しの中でうたた寝をするような、これ以上ないほどの心地よさと安らぎ。 「ゼノン……、私の愛しいゼノン……」  熱い吐息を零しながら、王子が甘く甘く囁き口づけを降らせる。ゆっくりとゼノンの中からそれが抜かれ、ゴプリと溢れた白濁がシーツを濡らした。  荒い吐息と口づけるリップ音だけが静寂に響く。それが心地よくて心地よくて、ゼノンは王子の大きな手に頬を摺り寄せた。 「……ァトラ、ス……」  少し掠れた声で囁く。それに王子は瞳を輝かせた。 「もっと呼んで。私の名を」  乞われて初めて、ゼノンは自分が王子の名を呟いたことに気づく。己が伴侶になったとはいえ王族の名を呟いてしまったことに驚くが、王子が嬉しそうならば呼ぶ方が良いのだろうか? 「ア……、アトラス……」  呼べば王子は輝くような笑みを浮かべた。そう、日輪と称されるにふさわしい輝きに、ゼノンは己の判断が間違っていなかったとホッとし、笑みを浮かべる。 「アトラス」 「もっと呼んで。ゼノンの声で呼ばれたい」  もっと、もっと、何度でも。 「アトラス……。僕のアトラス」  美しい澄んだ瞳の、太陽のような人。 「その瞳で、僕を見て」  何度でも名を呼ぶから。ずっと呼ぶから。 「見ているよ。私は君に夢中だから」  ずっと、ずっと、永遠に。 おわり

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