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第1話
夏がきた。
誰も彼も薄着になる、イヤな季節が。
俺の大嫌いな夏が
今年もやってきた…!
『やっと夏休みー!嬉しい!ね?』
『……お、おぅ』
いつもなら、夏休みは嬉しい。
俺たちの通ってる高校の工業科は、
普通科と違って課外授業も格段に短いし、
宿題も少ない。
それに部活もバイトもしてない俺は
結構 自由に遊べるのだ。
でも…今年は……
『楽しみだね!女の子たちとプール!』
『お…おぅ…そうだな…うん…』
そう、プール…!
なんと、
女子たちにプールに誘われたのだ!
女の子とプール!女の子の水着!
これぞ、青春!
テンション マックス!
の、ハズが……1つ 問題が。
俺は、プールが嫌いなのだ。
だから わざわざプールのない高校を選んだ。
海も嫌いだ。
だけど、泳げない訳ではない。
どっかつーと得意な分野だ。
なのに プールと海が嫌いなのか。
それは、
プールも海も
水着にならなきゃいけないからだっ!
水着…水着になるという事は男は当然、
上半身 裸になるって事だっ!
上半身 裸…
それは マズい!非常にマズい!
だって…だって俺は…
毛が、
体毛が…
異常に濃いのだっっ!
もう、それはモジャモジャと
今は服で隠れてる部分は
ほぼ毛で覆われている。
当然、足もすごい。
だから夏でも 半パンなんて履かない。
こんな毛むくじゃらの姿、女の子の前に晒せない。
絶対ドン引きされる。絶対だ。
…でもプールには行きたい。
女の子と遊びたい。
(だって男の子だもん)
『……はあ』
…どうしたもんか。
『??どしたの?豪太 』
隣を歩くは、高校から仲良くなった親友 宏海 。
….をチラッと見て タメ息。
コイツ、体毛 薄そう。
いや、薄いな。
コイツに腹毛や胸毛があるなんて想像つかない。
きっと スベスベ艶々の肌に違いない。
『はあ…』
どうしたもんか…
『なに?どしたの?悩み事?』
『……うん。ちょっとな…毛が…』
『ケガ?…え?豪太なに?ケガしてんの?
いつ?あ!もしかして 行けないの?』
『いや!違う違う!行く!行けるよ!』
『なんだぁ……え、じゃあ ケガってなに?』
『え?……いや、あの、えーと…』
『なに?俺には言えないの?
話してよ!親友でしょ?俺たち!』
『…ひ、宏海…!』
な、なんていいヤツ……!
そうだ!俺たち親友だよな?
話して…みようか……
コイツなら きっと 笑わずに聞いてくれる。
相談にのってくれる…はず。
そう、それに…
最終的に
コイツに剃ってもらうってテもあるじゃないか!
よし!話そう!
『宏海、俺んちに来てくれ!』
そうだ、
背中は1人じゃ剃れないしな!
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