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第87話★
『まだ終わらない。君の体内を俺でいっぱいにしたい』
「……うん、抱いて」
口淫に耽りながら、秀一の身体は疼いていた。前も後ろも刺激を想像してズキズキする。
『壁に両手をついて、お尻をこっちに向けるんだ』
「え、そんな恥ずかしいポーズ?!」
『俺しか見ていないんだ、構わないだろう』
「……は、はい」
奨から離れ、秀一は浴室のタイル壁に掌を当てる。少し姿勢を低くし、お尻を突きだした。
なんて卑猥なポーズだろう!
後ろ向きだから自分のポーズも奨の様子もわからないが、想像するだけで全身が火照る。
秀一の細い腰に伸びてきたものは、触手だ。そのうねうねした感触はすぐわかる。
身体の脇から秀一の前側に回り込み、男根に巻き付いた。
「あッやん」
今まで触れられていなかった性感に秀一は切なげに声をあげ、身体を弓なりに反らす。
背骨が描く美しい曲線。
『俺のをしゃぶっているだけで興奮したのか?こんなにして』
「ち、ちが」
『違う?じゃあこの滲み出ているのはなんだ?』
「それはッ…」
触手が秀一の先端に触れる。そこはもういやらしい蜜が溢れ蕩けていた。
「いやあッ駄目え」
『お漏らしみたいに濡れているぞ』
「言わないで」
言葉により羞恥を煽られる。触手が動き出した。壁に必死に手をつきながら、秀一は快楽に悶える。
「ああ、ッ!あっ…」
脚が震え膝ががくがくとする。強い刺激に座り込みたい。しかし奨が手をついていろと言ったから、姿勢を維持しなくては。
奨は背後から秀一の丸み帯びた双丘、背中を眺めている。
触手たちに前の愛撫を任せ、手を伸ばす。突きだされた丸みの割れ目に潜む小さな蕾を指で撫でる。
そこは早く可愛がってほしいとばかりひくひく蠢いている。
『後ろもすっかり欲しがりだな』
「……い、意地悪ッ!はやく……あ、あ、」
前だけじゃ足りないなんて秀一に言えるはずがない。
触手にこんなにも良いようにされているのに。先走りでぐちゅぐちゅの秀一の性器はもう発射寸前だ。
触は触手の一本を使い器用にボディソープのボトルを持ち上げる。それを掌に垂らすと、秀一の蕾にぬるぬる塗りたくる。
「ひッ!」
ひんやりした感触。秀一は悲鳴をあげた。
『滑りを良くした。さあ、うまく咥えられた御褒美をあげようか』
さっきまで秀一が咥えていた熱い肉の塊が楔として穿たれるのだ。
後孔に触れた先端の硬さに秀一は震える。
「あ、硬いの、当たってる」
祈るように眼を閉じ、迎え入れる為に深呼吸を繰り返す。
「来て……」
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