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第16話

「…放せ…教室に戻らないと、授業が…」 「………こんな時に授業の心配?大丈夫だよ、もう授業は始まっているから」 鼻血もそのままに、ぼんやりと授業の心配を口にした俺を見下ろし、ニッと笑う治朗。 「ごめんね~、ちょっと強く叩き過ぎたね。でも、樹生も悪いんだよ?オレを避けたりするから。昨日、オレの女になるってあんなに約束したのに……」 「…や、約束なんか…っ…」 「…あ~れ~?…昨日、『俺を治朗の女にして~ん』て言ったの、忘れちゃったのかな~?…じゃ、『もっと、もっと動いてぇ~ん』とか、『そこ、そこぅ~ん』とか、『もっと突いてぇ~』とかってオレにねだりまくっていたのに、それも忘れちゃった~?」 「…ふざけるな」 話にならないとトイレの個室を出ようと手を伸ばした俺の目の前で、治朗が壁に足をドンッと置いた。 「ふざけてんのはどっちだよ?昨日はオレの下でヒィヒィ喜んで自分から腰を振っていたくせに、今日は知らん顔かよ?」 「…喜んでなんか…っ…」 「喜んでたろうがよ。オレのモノを根元まで咥え込んで離さなかったのは誰だよ。初めてのくせに、感じまくってたじゃん。アンアン、ヒィヒィ喘ぎまくって腰振ってたじゃん。最初から後ろだけでイッてたし、案外、スキモノだよね。最後は自分から『治朗の女にしてぇ~』って言ってたもんね」 「黙れ…っ!!」 治朗にそれ以上喋られたくなくて殴りかかろうとしたら…壁に置いていた足が凄い勢いで俺の右頬にヒットして、便器の蓋の上に倒れる。 …便器の蓋がなければ…便器の中に顔を突っ込むところだった…。 だが、顔を殴られた衝撃で一瞬、意識を失っていたのか…気がつくと、俺の下半身は裸。 俺のズボンと下着は脱がされていて…両手は躰の後ろでベルトで括られていた。 「…な…何を…っ!!」 「おっと大きな声、出していいのかな~?ここ、学校だよ?どうする?樹生の声に気付いて皆、ここに来たら…下半身すっぽんぽんの恥ずかしい姿を見られちゃったらどうする~?」 (…恥ずかしい姿を皆に…) 見られる………。 ドクンッと、心臓が高鳴る。 「…本当、樹生って……」 治朗は俺を横目で見てクスクスと意味あり気に笑ったまま、蹲っている俺の髪の毛を掴み、ズボンから出している自分のペニスに顔を近付けた。 「しゃぶって勃たせろ」 治朗は信じられない言葉を俺に吐いた後、グイグイと自分のペニスに俺の唇を押し付ける。 俺は必死で唇を引き結び、顔を背けようとするが…治朗の細い体のどこにこんな力が…と思う程の力で頭を押さえつけられ………。 唇が治朗のペニスに押し付けられ気持ち悪い。 「全く、往生際が悪いな~」 なかなか口を開かない俺に苛ついたのか。 舌打ちした治朗に頭の髪を鷲掴みにされ、グイッと顔を上げられると、鼻を摘ままれた。 (…………………………っ!!)

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