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第30話

ドアの隙間から去っていく人物の背中がチラリと見えた。 見覚えのある背中………。 (………あれは………っ) 一気に血の気が失せ、現実に引き戻された。 (………彰………っ!?) それまで火照って熱かった身体が一気に冷めた。 「……彰………っ」 俺はすぐに起き上がって彰を追いかけようとしたが、治朗がそれを阻む。 「……どけ……っ……彰が……彰……っ!!」 「何、言ってんの…今更、止められるわけないでしょう……樹生だって止められないくせに……ほら」 治朗はますます激しく俺を突き上げ、攻め立てる。 「……止め……彰が……彰……っ……放せ……っ……治朗……止めろ……止めてくれ……っ!!」 治朗に突き上げられる度に、冷めていた身体に快感の火が灯り始め、萎えていたペニスも元気を取り戻しつつある。 俺はそんな快感に弱い自分に内心、舌打ちをする。 「何、言ってんの……さっきはあれほどオレの女になれて嬉しいって泣いて喜んでたじゃん」 「……ふざけんな……っ…誰が……っ…お前なんか……っ……お前なんか………っ!!」 「駄目だよ、そんな事を言ったって身体は悦んでるじゃないか…ほら、ほら」 治朗は元気を取り戻し勃ち上がったペニスを爪で弾く。 身体中に電気が走ったような快感の痺れが走り抜ける。 「………あ……っ!?……止め……っ!!……あ……っ!!」 治朗の動きに合わせて、俺の腰も動き始める。 「……止め……嫌……っ……放せ……っ」 初めは治朗と繋がっている身体から逃れようと暴れて振り回していた手足も、治朗に攻められている間に治朗の身体にしがみつき、治朗を罵倒していた口は喘ぎ声を上げ始める。 意思に反して治朗の動きに合わせて動き始めた自分の身体に、俺は絶望して涙を流す。 治朗は俺の流した涙を笑いながら舌で舐め上げる。 それにさえ感じている自分に、ますます絶望は募る。 治朗の身体にしがみつき、喘ぐ。 治朗がそんな俺を見下ろして、笑っている。 俺は治朗の動きに合わせて腰を振りながら、絶望の涙を流し続ける。 治朗の笑い声が響く中、声を上げて泣き喚きながらも俺の身体は治朗の首筋にしがみつき、腰を振り、快感を追い求め、悦んでいる。 いつの間にか俺の身体は、俺自身も気付かない内に治朗から与えられる快感に抵抗する事ができない身体になっていた………。 後に残るのは与えられる快感に喘ぐだけの空っぽの俺-。 それでも火照った俺の身体は治朗を求め、治朗を受け入れ、治朗に身体の奥を攻められる度に狂ったように悦びの喘ぎ声を上げ、腰を振り、射精し続ける。 指示されるままに色々な体位で治朗に突かれ、卑猥な言葉を口にし。 治朗に抱かれ続ける。 何度も、何度も。 絶頂に失神しては治朗に目覚めさせられ。 その繰り返し。 -治朗が満足するまで、それは続いた。

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