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出会い(俺)
青白く透き通る銀の髪。
暗い夜が明けて清らかな朝を迎える時のような、朝焼けの静けさを湛えた清廉な白銀。
この世には、こんなに優しく美しい色が存在したのか。
瞬きもできないまま視線を上げれば、俺を見つめる闇色の双眸。
細い眼鏡の縁が小さく銀光を返せば、その奥で闇色の瞳が大きく揺れた。
俺を……見てる……?
ぐちゃぐちゃで、ちっぽけで。それでもまだ意地汚く生きようと足掻いてる、こんな俺を。
吸い込まれそうな闇色の瞳に、ぼろ切れみたいな俺が映ってる。
「大丈夫……。もう、大丈夫ですよ……」
初めて聞いたその声は、少しだけ震えていた。
細くて白い指が、俺に向かって伸ばされる。
こんな綺麗な手は見たことがない。
俺の知ってる手はごつごつと硬くて、俺を殴り付けてくる拳ばかりだ。
美しい手が、俺の顔へ向かってくる。
この人が何をしたいのか分からない。
早く逃げないと殺されるかも知れない。
けど壊れ切った身体は、もうこれ以上動かなかった。
少し震えた指先が、優しく俺に触れる。
柔らかな感触。
どこか懐かしい気がして、苦しくなる。
こんな風にそっと俺に触れた人が。
俺にも昔、居たんだろうか……。
じわりと視界が暗くなる。
泥水をすすってしがみ付いてきたこの人生も、ここまでらしい。
ああ、せめて最後に……この美しい人を……。
もう少しだけ、……見ていたかった……のに、な……。
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