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先輩が優しい。
離れようとする先輩に、俺は必死で縋った。
どうしても離れたくなかった。
その腕に、胸に、……人の温もりに、触れていたかった。
先輩はちょっとだけ躊躇ってから、俺を胸元に引き寄せてくれた。
それだけで、ホッとする。
「お前なぁ……。あんま可愛い事ばっか言ってっと、本当に襲っちまうぞ……?」
低い先輩の声が、どこか拗ねるような声色でこぼす。
その言葉で、初めて、自分が襲われていなかったのだと知った。
それじゃあ、この人は……昨日から俺を慰めるばかりで、自分はずっと我慢していたんだろうか?
「なんだその意外そうな顔。俺は、お前の中にはコレしか入れてねぇぞ?」
そう言って、先輩は触手を俺の前で揺らしてみせる。
触手は、先輩にとって性器ではない……?
先輩は体内の器官をどこにでも移動させられるから、てっきり、俺の中に入れていたのがそうなのかと思っていたのに。
ああ……、そうか……そもそも先輩は、初めから俺をそういう風には見ていないんだ……。
おかしいな……落胆するような事じゃないのに。
俺は、……どうしてガッカリしているんだろう。
「……」
なんだか自分が情けなくて、じわりと俯けば、先輩は大きな手で俺の頭を宥めるようにゆっくり撫でた。
それを合図に、先輩の触手達が一斉に動き出す。
先輩がどんな顔をしているのか、見ようと思った俺の視界は、急激に襲う快感に滲んでしまった。
「あっ、やっ、んっ、んんっ、ぁああんっ!」
「ちゃんと口塞いどけよ」
言われて、慌てて両手で口を覆う。
でも、さっきよりも激しい先輩の愛撫に、俺の声は止まらない。
「んっ、んっ、んんっ、んんんっ、ぅんんんっっっ」
前を扱かれて、それと同じように内を穿たれると、快感が重なり合って何倍にも膨らむ。
同時に胸を捏ねられ、弾かれる。
「んぅっ! んンンッっ!! ンンンッッッッ!!」
その間も、先輩の大きな手は俺の後頭部を支えて、ゆっくり優しく撫でてくれていて……。
ゾクゾクとした甘い感覚が、いくつもいくつも俺の中に降り積もってゆく。
押さえても押さえても、指の間から息が漏れてしまう。
「んんんっっ! ぅンンッ、ンンンンッッ!!!」
身体中が、あっという間に先輩のくれる気持ちいいものでいっぱいになって、何も考えられなくなってくる。
からだの奥が、じんじん痺れる。
「ふ……、っ、ぅ……んんぅう、ん……っ」
あつくて……きもちいい……。
せんぱいの、ぐりぐりしてくれるの、が……。
先輩の触手が、俺の中でカタチを変える。
滑らかで突起の無いカタチだったそれに、いくつものボコボコが出来たのが、俺の内で分かった。
「んん……っ、ん……、ぅ、ぁ……ん……」
あ……それ……っっ、すご、ぃ、いいっっ、きもち……い……。
先輩のそれが俺の内を掻き回す。
俺自身を包む先輩の触手にも、ヒダのような物が生まれて俺への刺激をさらに増やしていた。
ぁ、ぁ、からだ、かってに、びくびくする……、ぅあ……、ぁ……。
「マル、随分良さそうな顔だな……」
先輩のざらついた低い声が、俺の耳から入ってくる。そこにじわりと孕んだ熱を感じて、背筋が震えた。
「あぁ、ん…………っ」
っ、せんぱいの、こえ……、きもち、いい……。
ぅあ……あたまに、せんぱいの、こえ……はいってく、る……。
先輩の熱い息が、俺の髪を揺らしてる。
あ、せんぱ……ぃ、も、……欲情……してる……?
「感じるか?」
俺の熱を確かめるように囁かれて、身体が先に応えてしまう。
「んっ、んんっ!」
びくんと大きく跳ねた俺の背を、先輩の手が支えて、撫でる。
それが嬉しくて、また感じてしまう。
もう、これ以上は、無理だ。
「ぅあっ、んんっ、んんんっっ、お、俺っ、イキそ、う、ですっ……っっ」
ふっと、先輩の笑ったような気配がして、何とか視線を持ち上げると、翠の瞳が大切そうに俺を見ていた。
「イッていいぜ?」
ニッと笑った先輩の口端から、八重歯が覗く。
それがどうにも色っぽくて、カッと身体が熱くなる。
全身の血がお腹の奥に集まるのを感じた時には、もうわけが分からなくなっていた。
「んんんっ! んんんんんんんんんんっ!!!!」
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