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結局あの後二回も求められ、気を失うように眠りについた。朝目覚めると瀬名に抱き込まれていて、視界いっぱいに広がる彼の整った顔にドキリとする。 「夢、じゃ……ねぇ、よな?」 恐る恐る手を伸ばし、彼の頬にそっと触れてみる。 「……ん……」 僅かに身じろぎする瀬名に驚き、理人は上掛けの中で息を潜めた。 幸い瀬名はまだ夢の中に居るようで、規則正しい寝息が聞こえてきて理人はそろりと息を吐いた。 よかった。ちゃんといる。夢じゃないんだと自覚した瞬間、無性に瀬名の体温が恋しくなって懐に潜り込み胸元に額を寄せた。 温かい……。瀬名の匂いだ……。 ずっと欲しかった温もりがここにある。それだけの事なのに胸が熱くなり、目頭がじんわりと熱を帯びた。 「……ふふ、可愛い」 「!」 突然、頭上から声が降って来たかと思ったら、旋毛にチュッと口付けが落とされ理人はぎょっとして起き上がった。 「お、お前……いつから……ッ」 「おはようございます。理人さん」 瀬名は微笑みながら理人の手を取り、甲に口付けると、そのまま指先に舌を這わせてきた。 「……っ、やめ……」 「どうして? 昨日はもっと凄いこと沢山したのに」 瀬名の指先が理人の指の間を撫でていく。昨夜の行為を彷彿させる仕草と耳に囁かれる甘い声に、冷めていた体がまた熱を帯び始める。 「理人さん……」 瀬名は理人を押し倒すと、覆い被さるようにして見下ろして来た。 「もう、絶対に……離しません」 瀬名の手が理人の髪を優しく撫でる。その優しい眼差しと言葉に、心が満たされていくのを感じる。 「俺も……っ」 愛しい気持ちが溢れて来て言葉にならず、瀬名の首に腕を回して自分から口付けた。 「ん……っ」 何度も角度を変えながら互いの唾液を交換し合い、次第に深いものになっていく。 「理人さん……好き……大好きです」 「っ、知ってる……」 返事の代わりに自分から舌を差し出して、差し入れられた瀬名の舌を受け入れた。ねちねちと絡ませ、互いの吐息を混ぜ合わせる。 「ん……っ、はぁ……ん」 熱っぽい口付けを交わす間にも、長い指が理人の素肌を弄っている。 「っ……ふ、は、ぁ……」 漏れ出る声は全て瀬名の口内に飲みこまれていった。 「理人さん……いいですよね……?」 「っ、い……いちいち確認するなっ馬鹿……っ」 改めて訊ねられるのが恥ずかしくてふいっと顔を背けると、顎を掴まれ強引に正面を向かされる。 「理人さん、僕を見て」 「っ……」 瀬名の顔を見ると、熱に浮かされたような表情をしていた。余裕がない時の瀬名の声はいつも以上に甘くて、腰に響く。 「俺は、お前のモンだ。だから……好きにしろよ」 「素直に抱いて欲しいって言えばいいのに」 「……うるせぇ」 瀬名の言葉に耳まで赤くしながら悪態をつくと、クスリと笑われた。 「まぁ……そういう所も好きですけど」 愛していますと耳元で囁かれ部屋中が甘い空気で満たされる。 「俺も……愛してる」 瀬名の首に手を回し引き寄せて、無言のまま互いに唇を重ね合わせた。 もう何度目になるかもわからない口付けに何事にも替え難い幸せを感じながら、そっと目を閉じた。    END

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