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第1話

「春、、、おい、起きろ春眞」  体を揺すられ浅い眠りから覚める。大学の講義室の硬い椅子と机は睡眠には適さない。ウゥーっと声をあげて軽く体を伸ばすと節々からパキパキと音が鳴る。  「次は解剖学の実習の説明会だ。資料持ってきたよな?」  辰巳に聞かれ、持ってない。と答えれば呆れながらもプリントのデータをメールで資料が送られる。  2人が今いるのは大学の講堂。2人は歯科技工士養成の大学に通う大学生なのだ。今日はオリエンテーションの日で教科書などはいらない。さっきの時間が歯科理工学で次が解剖学だ。どちらも,1年生の時に座学を習い2年生で演習をする。歯科理工学は実験,解剖学は見学をする。この大学では,歯科理工学と解剖学は技工科と歯学科が合同で行うため今回は大きな講堂でオリエンテーションしているのだ。  春眞と先ほどから話しているのが村瀬辰巳。小学校からの幼馴染である。明朗快活だが抜けているところがあり、ぽやんとしている春眞の面倒を辰巳が見ているのだ。  普段,2人を見ることがない歯学部の学生は日常ではみられない麗人を前にざわついている。  辰巳は身長が高く、バスケ部で2年生にしてエースを張るに相応しい筋肉質ないい体格に加えて身長も186㎝と高く、つり目がちなぱっちりとした二重の美丈夫である。茶髪の髪を無造作にセットしているがそれも飾らない雰囲気に合っていてよく似合っている、  対して春眞は身長こそ普通で体も華奢だが、こげ茶色に赤が混じった珍しい瞳の色はたれ目で存在感があり、通った鼻筋や形のいい薄い唇はバランスよく顔に配置されている、すずし気で中性的な印象を与える。 しかし,2人は周りがちらちらと見ていることな気にしない。近くの友達と喋りながら時間を潰していた。  しばらくして先生が戻ってきて、またオリエンテーションが始まった。先生の説明では、今回の演習は歯学部と合同で斑も歯学部と技工科で混ぜて行うらしい。解剖学の見学は2コマで後日レポートの提出がある。歯科理工学は議題ごとに1クールとして全3クール行う。週2コマ実験を行い1クールにつき8コマ。1クール終わるごとに実験に関するレポートを論文形式で制作する。なかなかハードな内容になっている。  先生は淡々と説明して、後半はそれぞれのグループに分かれて挨拶する流れになった。辰巳と春眞は同じ斑になり、斑のメンバーも明るく温厚な人が多くいい斑だった。この班で解剖学の見学もするが大丈夫だろう。鐘がなり、オリエンテーションが終わる。春眞と辰巳は2人とも席をたちそうそうに講堂をでた。  

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