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Not virgin

私のご主人様は精力絶倫のスネイク。ベッドの上じゃ腰がブレイクするほど踊ってくれる。 贅沢させてもらってるし今の生活に不満はない……いや取り消し、あるわやっぱ性生活方面で。 ここは|死なずの行き止まり《アンデッドエンド》、享楽と退廃の街。 私のご主人様はとってもえらくて怖ーいマフィア、牙に毒あり尾にペニスありのラトルスネイクって聞けばみんなびびりまくる。 拾ってもらったのは全くの偶然、元々私はバンビーナの風俗嬢だった。バンビーナはアンデッドエンドの歓楽街でミルクタンクヘヴンと二枚看板を張るお店、あっちは巨乳専門店でこっちは貧乳専門店、わかりやすいでしょ?宗教の違いで対決してるけど……胸囲の格差は悲劇と喜劇を生むの。 呉哥哥との馴れ初めは長くなるから割愛。若くて可愛い風俗嬢が働きを買われて経営者の愛人に昇格するなんて珍しくもないでしょ、ありがちサクセスストーリーってヤツ。 ところが誤算というかなんというか、呉哥哥は忙しい人でまめに通っちゃくれない。しかも他にたくさん愛人がいる。うちには週一顔を出せばいい方でどうしたって暇を持て余す。 勘違いしてるおばかさんがいるから言っとくけど、呉哥哥は火遊びに厳しい方じゃない。少し位なら大目に見てくれる。私の前任が間男ともども見せしめに殺されたのは組織のお金を盗んだから、タブーさえ犯さなきゃポイ捨てで済んだのに。 ベッドの中じゃ絶倫でねちっこくても去る者追わずが呉哥哥の流儀。というか、あの人に特別な女なんていないんじゃない?勘だけど。風の噂じゃ|静蕾小姐《シェイライシャオジェ》は子種を欲しがってるとか……残念、脈なしでしょうけど。子孫繁栄に興味がないタイプの蛇さんなのよ、あの人は。 マフィアは面子を大事にする生き物。舎弟が金庫を破って愛人と駆け落ちなんてスキャンダル沽券に関わる。だからお仕置きされたってだけの話で、おばかさんには同情しない。まあ気持ちもわかるけどね、放置プレイをプレイと割り切れる愛人ばっかじゃないもの。 そんな私が最近ハマってる暇潰しは呉哥哥の舎弟をからかうこと、ちょっと好みな人がいるの。 マフィアって大抵コワモテなんだけど、その人は珍しく優男タイプ。聞いた話じゃ呉哥哥の右腕だとかなんだとか……全然そんな感じしないけど、人は見かけによらないね。 ダークブラウンのボサ髪とどす黒いクマができた目、ちぐはぐな伊達メガネ。サイケデリックで悪趣味な柄シャツから覗く貧相な胸板には肋骨が浮いている。極端なやせぎすでちゃんと食べてるか心配になっちゃうほど。 呉哥哥に好きに使っていいって言われてるから荷物持ちや模様替えで呼び出しちゃあ悪戯してるんだけど、さっぱり乗ってこなくて興ざめ。 今日もお買い物の足に使った。 「あと三段!あと二段!あと一段!」 「うるせえ……応援はいいから一個位持てよ」 「えーネイルが剥げちゃったらやだもん」 アパートの階段を軽快に駆け上がって振り向けば、新品の服や靴、ハンドバックが入った箱を抱えて劉が息を切らす。両腕には限界ギリギリまで袋が下がって人間ハンガーみたい。 「荷物持ちが劉のお仕事でしょ?ガンバレガンバレ」 後ろ手組んで纏わり付けばうざったそうに振り払われた。結構長い付き合いになるけど頑なに目を合わせてくれないイケズ。そんなとこも可愛いんだけどね、いじめたくなるっていうの? 「は~い御開帳~お疲れ~」 スキップして七階に上がりドアを開ける。玄関に荷物をおろして一息、咥え煙草で肩をほぐす。 「じゃ」 「待って早くない?お茶位出すから休んでいきなって」 回れ右するシャツの裾を引っ張ってせがむ。劉は露骨に嫌そうな顔、ジト目に不信感が浮かんでいる。 「さっさと帰んねーとどやされる。やることたまってんだよ」 「呉哥哥の靴磨きなら玄関マットにやらせときゃいいじゃん」 「洗車」 「天気予報じゃ午後から雨だって、自動で洗浄してもらえてラッキー」 皆まで言わせず引っ張り込む。 どんだけ憎まれ口叩いても劉は紳士だから、力ずくで女の子を振りほどいたりしない。加減を間違えて哥哥の愛人に怪我させたらヤバいってのもあるけどね。 「好きなとこ座って」 「面積がねえ」 部屋の床は一面脱ぎ散らかした服や下着で埋もれてる。 「フツー女の子の部屋に来たらもっと喜ばない?心外」 「下着位しまえ、収納下手か」 「照れてんの?呉哥哥とヤッてるとこ見慣れてんでしょ」 「見たくて見てんじゃねェ命令されて嫌々だ、恥を知れよ」 お行儀悪くパンティーを蹴りどかし、窄めた爪先にブラジャーをひっかけて投げる。残念、空振り。劉は身もせず首を倒して躱す。 仏頂面で煙草を噛む横顔を頬杖付いてニヤニヤ覗き込む。 「劉さー、痩せすぎじゃない?胸とか鶏ガラみたいじゃない、お風呂でダシとんの?」 「とらねェよ」 「仙人めざしてんの?煙草の煙じゃお腹膨れないでしょ、手料理作ってあげよっか、お粥とか」 「媚薬盛られそうだからいらねえ」 「そんなことしないってば」 「どうだか」 なんでわかったんだろ?前科があるから? 「俺の体調心配ならニコチン点滴してくれ」 「原液は死ぬでしょ」 「殿上人は霞を食って生きる、そこまで悟れてねェ下っ端はモクを吸って生きる」 煙草を摘まむ。取り返される。劉が帰り支度を始める。 「もー帰っちゃうの?ツレないなァ。ね、劉も遊んでかない?バレたら殺される?黙ってりゃわかんないって、万一バレてもその時はその時よ、哥哥は寛容だから命まではとらないって。童貞だって噂ホント?耳にピアスいっぱい、遊んでるふうに見えてこことかここ未使用なの?……あはは赤くなっちゃってかーわいー。リラックスしてよ、かわいがってあ・げ・る」 「上司の愛人に手ェ出すアホの二の舞になりたかねェな」 摘まむ。取り返される。摘まむ。取り返される。延々その繰り返し。しまいにはふくれっ面でぼやく。 「もーっ私の色仕掛けで落ちないないとか不能なの?それとも男好き?わかった、呉哥哥のお手付きでしょ!突っ込む方突っ込まれる方どっち?」 「ぶっ!」 煙草を吹き出して激しく噎せる。わかりやすいリアクションが痛快。 からかわれたと知った劉が剣呑に眉根を寄せる。 「……帰る」 「待って機嫌悪くしたら謝るから、本当に相談したいことあるのよ」 「生理が遅れてるとか?」 「呉哥哥が避妊に気を付けてるの知ってるでしょ意地悪!」 「浮気を疑った嫌味だよ」 「感じ悪っ」 私をずるずる引きずって玄関へ行く劉に縋り付き、迫真の演技で叫ぶ。 「|妈妈《マーマー》が不治の病的なアレで手術費がいるの!」 ぴたりと止まる。よしきた掴みはオーケー、伏目で涙ぐんでもうひと押し。 「私の仕送りじゃ足りなくて……」 「……哥哥にゃ言ったのか?」 「今だって贅沢させてもらってんのにこれ以上甘えらんないよ。劉だって知ってんでしょ、右も左もわからない田舎出の風俗嬢を引き抜いてくれたんだよ?相談できるの劉だけなの、他の子たちにお金貸してなんて頼めないよ、ちょっとでも隙や弱みを見せたら引きずり下ろされるおっかない業界なんだから!前にお店にいた|依然《イーラン》小姐覚えてる?お父さんの病気で悩んでたら前世で百人に毛ジラミ伝染したのが原因だから浄財すれば治るってだまされて~」 「わかった、話だけなら聞いてやる」 うわちょろ。まじちょろ。俯けた顔でほくそ笑む。再び部屋に場所に移し劉に人生相談をする。 「ダチとか元カレとか借りられそうなあてねえの?」 「うーん……」 即興でっちあげた身の上話を劉は親身になって聞いてくれた。他の愛人はどうだか知らないけど、基本私にタメ口なのは年が近いせいかもしれない。煙草をすぱすぱやるのは集中してる時の癖。 「お袋さんがヤバいんなら一回帰った方がいいんじゃねえか」 「哥哥が許してくれる?」 「俺も口利きしてやっから。いや……あの人が聞くかわかんねェけど。無理か?まあ呉哥哥も鬼じゃねェし……鬼か?愛人のお袋さんが危篤なら手土産持たせて帰してくれんだろ」 「手土産って」 「蛇皮とか。金運上昇するらしいぜ」 「葬式費用賄えって嫌味?」 今だ、劉がテーブルに置いたモルネスの箱を前もって用意してたのとすりかえる。灰皿で煙草を揉み消し、箱からまた一本抜く。咥える。 薄い唇が煙草を挟んで紫煙を燻らすのを確認後、おもむろに立ち上がる。 「喉渇いたでしょ?お茶淹れてくる」 「いらねェ」 「異物混入警戒しすぎ」 「お前は信用できねェ」 「でしょうね」 劉が頭を押さえてよろめく。唇から零れた煙草を摘まんで一服、にんまり種明かしをする。 「マリファナ入りのとすりかえといたの。味へんなの気付かなかった?」 「てめ……」 甘く煙たいマリファナの香りに酔い痴れ、悔しげに顔を歪める劉をベッドに押し倒す。往生際悪く起き上がるもののすぐに脱力してへたれる。 「身の上話も全部嘘か」 「そゆこと」 ああ、体の芯からぞくぞくする。マリファナでハイになる。紫煙に乗じて巡る酩酊感に深く溺れ、劉の骨ばった手首をストッキングでベッドの支柱に縛り付ける。 「ッ、ざけんな。チクんぞ」 「長いこと舎弟やってんのに哥哥の性格わかってないね、私に犯されたなんて知ったら面白がるに決まってんでしょ」 図星を突かれて黙り込む。可愛いなあホント。そばかすが散った鼻にずれた眼鏡の向こうから潤んだ目が覗く。手首をばた付かせストッキングを引っ張る。 「パンティーで縛ったげた方が興奮した?」 はだけた柄シャツから片手をさしいれて貧相な胸板を暴く。いたずらに乳首を掠めればビクリと震えが走る。しどけなくばらけた前髪の奥、ダークブラウンの瞳に偽りがたい怯えと混乱が浮かぶ。 「ロープや手錠じゃ傷付いちゃうからね。優しいでしょ私?眼鏡したままがいいかとった方がいいか選ばせてあげる」 「悪趣味な女だな……俺に唾付けて何が楽しいんだ、あっちのご期待にゃそえねーぞ」 「童貞だもんね」 何故か威張って断言する劉に顔を寄せ、耳朶に吐息を絡める。 「でも……ヴァージンじゃないんでしょ?」 これが私の秘密。抱かれるだけじゃ物足りない、受けるだけじゃ満足できない、本当はずっと男の人を犯したかった。劉は哥哥がくれた手頃なオモチャ、あちこちいじってあげなきゃもったいない。 生理的嫌悪と恥辱と疑念、ダークブラウンの瞳に色んな感情が錯綜する。 「誰に聞いたんだよ」 「当てて」 「どうせ哥哥だろ」 「ピンポン。けどみんな言ってるよ」 「みんな?」 「舎弟の人たち。哥哥にケツ貸して取り入ったとか。劉も苦労したんだよね?何歳からやってたの?何人に後ろ使わせた?」 「ぁッ、ぐ」 シャツの上から乳首を摘まむ。劉が顔を背ける。今度はもっと強く抓る。喉が仰け反ってイイ顔になる。 「もっと劉のこと知りたいな。教えてよ」 「俺の過去なんざどうだっていいだろ、ろくでもねえ、ッは」 「敏感だね、コリコリしてる。女じゃ勃たないってホント?じゃあなんで反応してるの?」 弱いのがわかったから乳首を重点的に責める。シャツ越しに抓って揉み潰し、ちゅぱちゅぱしゃぶって刺激する。生地に唾液がしみ広がっていくのが卑猥。私はレズじゃないけど、クンニってこんな感じかな。 「ぁっ、うあ、待」 「乳首いじめてもらえるなら性別どうだっていいの?淫乱だね劉」 「気持ち悪……こそばゆいんだよ……」 手首にストッキングが食い込んでギシギシ軋む。可哀想に、劉はもう涙目。そろそろいいかと判断し直接行く。 「~~~~ッァあ、ぁっ」 「喘ぎ声出していいよ、私っきゃいないし」 背筋をぞくぞく駆け抜けるサディスティックな快感。私の見立て通り劉はたまらない声で鳴いてくれる。上下の唇で挟んでねぶり吸い立てる、ちゅっちゅっと音をたて捏ね回す。ピンクの突起がぴんと勃ってクリトリスみたい。 「ウリしてた時のこと話してよ、どんなお客さんがいたの」 「忘れた」 「何された?」 「覚えてねッ、ぁッあ」 指と舌と唇でピンクのしこりを楽しむ。劉は別に美形じゃない、なのになんでこんなエロい顔するのかな? 弛緩しきった口の端から涎を一筋たらし、被虐の官能に蕩けた表情をさらす男の人を生唾飲んで見下ろす。 この悦びは哥哥とのセックスじゃ味わえない、あの人は攻めさせてくんないもん。 ふやけるほど乳首をいじめるのに飽きて片手をズボンにもっていく。股間をまさぐれど反応ナシ、萎えたままのペニスに失笑する。 「女性恐怖症ってマジなんだ。乳首責めによがってるくせして」 「るせ……」 苦しげに喘いで毒突く。乳首はすっかり準備万端色付いてるのに、下半身が勃たないんじゃ続けられない。仕方ない。 枕元の瓶を逆さにしとろりとしたローションを手のひらに塗り広げる。濡れ光る粘液の余りをペニスや会陰に刷り込み、アナルの窪みを揉みほぐす。 「!!ぁっ、ぐ、ふざけっ」 私が何をしようとしてるか悟って劉が暴れだす。ストッキングを引っ張って死に物狂いに身をよじりシーツを蹴りたて、その衝撃で眼鏡が吹っ飛んでいく。 「暴れると怪我するよ」 「変なトコ指突っ込むなよ汚ねえ、もういいだろ満足したろ今日の事は黙っててやる、今なら引き返せっから、なっ?」 虚勢の剥がれた笑顔を卑屈に引き攣らせる。私は興奮に乾いた唇をなめて呟く。 「言うこと聞かないとお仕置きだよ」 「……」 その一言で委縮する。小さい女の子みたいに震えだす。 ローションで滑りをよくしたアナルに人さし指を突き立てれば、劉が勢いよく仰け反る。 「痛い?」 「ッ、ぐ……痛てえに決まってんだろ、出すとこ入れんな……」 「じゃあ増やすね」 抗議は聞かずに中指を潜らす。ツプ、と沈んだ指を粘膜が包む。 「劉の中あったかい。締め付けてくる」 「抜け……吐きそうだ……」 マリファナで悪酔いしてるのかな?括約筋の抵抗を無視して束ねた指を突っ込んじゃ引き抜く。出し入れのたび直腸の粘膜を巻き返し、前立腺のしこりに刺激を伝えていく。 「ぁッ、ッあ、ンっぐ」 「女の子に犯されるの気持ちいい?」 「ん~~~~~~~~っ」 「可愛いなあ劉は、唇噛まないで声出しなよ。前立腺責められてずぶずぶのドロドロでしょ乳首ビンビンに勃ったまんまじゃん、あはっ前もちょっと勃ってきてない、エッチなお汁がズボンにじゅくじゅく染み出てるよ」 人さし指と中指の根元まで埋めて引き抜き、一番感じる前立腺を容赦なく責めまくる。立てた膝裏が波打ち下半身に痙攣を広げ、はしたなくピク付く乳首が上を向く。 「ッ、ふ、っぐ、ぁっふァ」 ぐちゅぐちゅぬぷツぷ、ローションと腸液で潤んだ粘膜をかきまぜる。 括約筋が収縮して指を食いしばり、腰がどんどん上擦っていく。柄シャツの前があられもなくはだけて薄い胸板と痩せた腹筋を剥きだし、劉が小さく絶頂を迎える都度、辛うじて恥骨に引っかかったジーパンがずり落ちていく。 「もうよせ、下っ腹キツ、ッはぁ、ひっかく、な」 感じすぎてわけわかんなくなってる時の劉は可愛い。 せっかちな瞬きで生理的な涙と汗を追い出し、唾液の糸引く口を閉め忘れた痴態が嗜虐欲を焚き付けて、もっともっといじめたくなる。 男の人は皆おんなじ、前立腺をねちっこく刺激されれば嫌でも感じちゃうの。ストッキングに繋がれた腕を押さえ付けて、右に左に忙しなく傾げる顔を暴く。 「女の子みたいね」 「あばずれが」 前髪のすだれを透かし、倒錯した快楽に濁りゆく目に憎悪が爆ぜる。 「知ってる?ピアスの数は自己嫌悪の数だって」 「んぅっ、は、抜け、よ」 「劉は自己嫌悪のかたまりだね」 耳にちゅくちゅくと舌を絡めてピアス一個一個をねぶる。金属の味が舌に溶けてまずい。 「ぁ、く、はぁあ」 唾液を捏ねる音が直に響いて脳髄が痺れた劉が泣きそうに歪んだ表情で嫌々するのが可愛くて、窄めた舌先を孔に出し入れする。 「変態、女」 罵られて高ぶって、手挟んだ顔に唇を重ねる。 劉の唇は苦くて煙たい煙草とマリファナの味がした。 「!んッ、ふ」 唇をこじ開けてもぐりこむ生温かい舌。柔く熱く蠢いて口腔を蹂躙する。何これ、え、嘘でしょ?完全にマウントとってたのに……器用に蠢く舌が唾液の糸を掛けて巣を張っていく。 「ぷは!」 くたりと腰砕けにへたりこむ。伸びきったストッキングに戒められ、上体を起こした劉が顔を赤らめて囁く。 「気が済んだろ|小姐《シャオジェ》、ままごとはおしまいだ」 前髪の奥から覗くダークブランの瞳には冷ややかな軽蔑。不機嫌にひん曲げた口元には鋼の意志。 豹変した雰囲気に気圧され、のろのろとストッキングをほどく。手首を回して関節の具合を確かめたのち、ちんまりと正座する。 「……怒ってる?」 無視された。それはそうだ。人さし指の先端を突き合わせて反省する。 「ごめん、やりすぎちゃった。劉があんまりエロいから調子のっちゃったの、呉哥哥ご無沙汰で寂しかったし。それにほら、哥哥はオラオラ俺様でちっとも攻めさせてくんないし?女の子だってたまには上になりたいんだよ、男の人をめちゃくちゃにしてあんあん喘がせたいの、劉はヴァージンじゃないって噂だしアナル責め慣れてるでしょマゾっけありそうだし。ていうか今のエグい舌テク何?やるじゃん、見かけによらず……」 床の眼鏡を拾って掛け直し、面白くもなさそうに劉が吐き捨てる。 「ダチにチェリーの茎の結び方教えてもらった」 「待ってよ」 足早に退散する慌てて劉を追いかける。玄関で捕まえればドアノブにかけた手が小刻みに震えていた。顔色もひどく悪い。 「えと……ごめん」 バタンとドアが閉まった。廊下の向こうで派手にえずく音がする。なんだか無性に惨めになって、膝を抱えてしゃがみこむ。 「吐くことないじゃん、ばか」

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