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6 初心なヤツ

 メッセージの返信を待っていたのに、少し待っても返信はなかった。既読は付いているのだから見てはいるのだろう。完全に無視されたようだ。 (……ちぇ)  つれないヤツ。  けど、良輔は知らないんだろう。無視されることにも興奮するって。無視されて、放置されているのだと、興奮して、アナルに突き刺さったバイブを抜き差しする。ウネウネと動きながらナカを掻き回すバイブに、声を抑えながら快感に耐える。 「んっ、ん……、良輔っ……」  どんな冷ややかな顔で、無視してるんだろう。侮蔑の顔で腹を踏まれたら、どんなに気持ち良いだろうか。 (良輔、踏んでくれねえかな……)  あの優しい男が、そんなことをするのは想像出来なかったが、もし本気で怒って踏んでくれたら、興奮してそれだけで達してしまうかもしれない。 「あ、んぅ……」  ぐりぐりとバイブを動かしながら、息を荒らげる。良輔のは、もっと太かった。もっと、荒々しかった。  吐息を吐き出し、シーツをぐっと握った所で、不意にドアを叩く音が聞こえた。 「――」  現実に引き戻され、不愉快さに顔をしかめる。  誰だ。邪魔しやがって。 (無視しよ)  今さら止めて取り繕うのも面倒なので、知らないふりをする。部屋を訪ねるのなんか、どうせお知らせを伝えに来た誰かしかいない。寮生を部屋に誘ったことは一度もないからだ。  ドンドンと、再びドアが鳴る。 (しつこい)  もしかすると苦情だろうか。食堂やラウンジ、シャワーや洗濯機の利用など、苦情があれば寮長か副寮長が指導しに来ることがある。入寮したての頃は、洗濯機に洗濯物を入れたままだったとかで、注意を受けたことがあるが、今はそんなことはないはずだ。外面だけは良い俺なので、寮内で問題を起こしたことはない。 (チッ、仕方がない)  ひとまず、誰が来たのか確認のため、覗き窓を覗く。おおかた、寮長の藤宮か副寮長の雛森だろう。  そう思って覗いた覗き窓の向こうに、金髪の青年が見えて、思わず目を瞬かせる。 「え、良輔?」  思ってもみない相手に、思わず何も履いていないどころか、余計なものが突っ込まれている状態だというのに、ドアを開けて出迎える。 「お前――おまっ」  扉を開けたとたんに文句を言おうとした良輔が、俺の格好に驚いて、次いで慌てて俺を部屋に押し込めドアを閉じる。 「お前っ! なんて格好で開けるんだっ!」 「いや、良輔だったから……」  別に良いかと思って。と言う俺の肩を掴んで、良輔は鬼の形相だった。温厚な彼でも怒るらしい。 「バカがっ。見られたらどうする!」 「あは、だな。ところでさ、良輔」  本当に丁度良い所に来てくれた。俺は床に寝そべって、良輔を見上げる。良輔は何事かと、戸惑っているようだった。 「ちょっと一発、踏んでくれ」 「――は」 「今、丁度、お前に踏んでもらう妄想で」 「バカ野郎かっ!」  良輔は真っ赤な顔でそう叫ぶと、俺の腕を引っ張ってベッドに座らせる。 「んぁ」  アナルに突き刺さったままのバイブが、ぐりっとナカを抉って、思わず声が漏れる。良輔がビクッと肩を揺らした。 「おっ……、お前なぁっ、渡瀬っ! なんだよ、あの写真!」 「なんだよ、踏まねえのかよ」 「……っ!」  怒ったついでに、踏んでくれれば良かったのに。けど、見てくれる相手が来てくれたのは、歓迎するところだ。 「渡瀬、お前、取り敢えず、一回それ――それを、抜けっ……」  頭を抱える良輔に、イタズラ心が沸き上がる。本当に、純真なヤツ。 「それって、これ?」  脚を開いて、良輔に向かってアナルを見せつける。バイブはナカでヴヴと激しく振動していた。 「っ、そ、そうだっ」  良輔は怒りながら、目を逸らせないでいるようだ。唇を真一文字に結んでいるが、喉はごくりと動いている。耳まで真っ赤なのは、大の男のくせに可愛らしい。 「……良輔、抜いてよ?」 「っ、は――? え、俺っ?」 「俺はこのままで良いんだもん。なぁ、気になるなら、お前が抜けよ」 「っ、お、おま……」  茹でダコみたいに真っ赤な良輔に、ニマニマと笑う。我ながら性悪だとは思うが、楽しくて仕方がない。 「っ、む、無理だっ……」 「何で? ホラ、手貸して」  良輔の手を取って、下半身に導く。深く突き刺さったバイブの持ち手を握らせた。 「っ、渡瀬っ……」 「ホラ……」  恥ずかしがって顔を真っ赤にしたまま、良輔はどうして良いか解らない様子で目をさ迷わせる。 「一気に抜いても平気だよ。結構、気持ち良いんだ、それ」 「っ、渡瀬、俺」  嫌なら手を離せばいいのに、良輔には思い当たらないらしい。完全にテンパっている。 (可愛いヤツ)  真っ赤になった顔を舐めたら、どんな顔をするだろうか。怒って逃げそうだから、止めておこう。 「あ、ん……っ。なぁ、良輔、抜かないの?」 「っ」  俺はじっと熱っぽい視線で良輔を見つめながら、シャツのボタンをわざとゆっくり外していった。良輔の視線が釘付けになる。  パサリ、大仰に床にシャツを落とす。これで、俺は丸裸だ。  指をゆっくりと乳首に這わせ、くにくにと弄くる。 「んぁ、ん……っ」 「わ、渡瀬っ! ヤメロよっ!」 「……ん、何を?」 「だっ……」 「あ、んぁっ」  先端を指で引っ掻き、ビクンと腰を揺らす。良輔もビクッと肩を揺らした。 「あ、あっ…ん、良輔っ……。動かして、お願い……んっ」 「――っ」  腰をくねらせ、刺激をねだる。良輔唇ぎゅっと結んで、目を閉じるとゆっくりと手を動かし始めた。バイブがうねりながら、アナルから抜き差しされる。 「んあ、んっ、良輔っ、あっ、あ……っ」 「っ……!」 「もっと、ズポズポして、良輔……ん」 「~~~~っ」  じゅぽじゅぽと、音が鳴る。良輔耳も塞ぎたそうだった。その様子に、つい口許が緩んでしまう。 「あっ、ああっ、んっ」 「わ、渡瀬」 「良輔っ、あ、ああっ!」  乳首を弄りながら、抜き差しされる快感に浸る。セックスではなかったが、オナニーとも違う。見てはくれなかったが、俺の痴態を聞いている。 「あっ、あ、イクっ、イっちゃ……んっ!」  いつになく、興奮して、俺はビクビクと震えながら、白濁を腹の上に溢した。  締め付けたせいか、ずぽんとアナルからバイブが抜け落ちた。ヴヴヴと音を立てたまま、ウネウネ動くバイブが良輔の手からポトッとシーツの上に落ちた。 「あっ、あ、……――ん」  はぁ、はぁと、息が溢れる。 「っ、――……」  良輔は目を開けて良いか、解らないようだった。余韻の残ったまま、良輔を見る。相変わらず、真っ赤だ。 「……」  良輔の下半身に目をやる。ごまかしきれない誇張が、服の下から主張していた。 「勃っちゃった?」 「っ!」  良輔が慌ててベッドから距離を取る。もう童貞じゃないのに、いつまでこの調子なんだか。しかも俺相手に。 「渡瀬っ! お前な!」 「俺も一回じゃ足らないし、ココ使っても良いよ?」  バイブで柔らかくなったアナルに指を這わせ、誘惑する。良輔はビクッと肩を揺らした。 「っ、渡瀬――俺は、こんなことをしに来たんじゃ……」 「あれ? そういや、何しに来たの?」  そう言えば用件を聞いていなかった。 「あのなぁ……。なんだよ、あの写真!」 「あ? あー、あれ?」  なんだ、文句を言いに来たのか。 「どぉ? エロかった? 新しいアカウントのプロフィール画像にしようと思ってもるんだけど」 「は――」  まあ、実際には加工してエロ度は下がっちゃうんだけどさ。  良輔の感想はどうだったのか、聞いてみようと笑顔で待っていると、良輔は顔をしかめてベッドに近づくと、俺の肩を掴んだ。 「痛っ、おいっ」 「お前、新しいアカウントって、なんだ。どう言うことだよ」 「は? 新しいアカは、新しいアカだろ? この前、消しちゃったんだから」 「――」  良輔が口を結んだ。なんだか、怒っている? 「ん? 怒ってんの?」 「――怒る、だろ! 何のために消したと思ってんだっ!」 「大丈夫だよ。今度はちゃんとボカシ入れるし。心配ないって!」  カラカラ笑う俺に、良輔はムッとした様子だった。 (マジで心配性だな。マジになんなくても良いのに)  他人のことにムキになる良輔を、俺は理解できない。もしかして良輔は俺が思ってるより、俺を友達だと思っていたんだろうか。 「そんなもん作って、どうするんだよ。写真をばらまきてーのか?」 「まあ、見てもらいたいはあるけど。一番は出会いだよ。ヤリモクだって言ったろ? こう言うのはSNSが一番――」  ぐい、と肩を押された。そのまま、シーツに押さえつけられる。 「ダメだって、言ってんだろ」 「――え」  良輔が、上に覆い被さってきた。

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