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5 セルフポートレート

 良輔に裏アカがバレて一週間が経った。誰にも何も言われていないし、変な噂が立った様子もない。良輔は言いふらしたりしなかったし、星嶋と榎井にもバレなかったようだ。  良かった、良かった。 (しばらく大人しくしてたんだし、そろそろ平気だろ)  念のため静かに過ごしていたが、解禁しても良い頃合いだ。裏アカが失くなってしまったので、また作らないと出会うのは難しい。出会い系のアプリは完全なヤリモクだと警戒されるのであまり向いていない。俺は男と恋愛したいわけじゃないのだ。本気になられても困る。 「先週は良輔と一回しかヤらなかったもんな」  俺にしては抑えてる方だ。アカウントが失くなったから、エッチな写真も撮ってなかったし。 (新しく作る裏アカのアイコン用に、写真撮るかぁ)  俺はベッドから降りて、クローゼットを覗き込む。バイブとかエッチな下着とかは奥の箱に隠してあるのだ。  箱からアナルパールと、極太サイズのバイブを取り出す。 「良輔の、コレよりでかくね? マジでヤバいなアイツ」  バイブをツンツンとつついて、良輔の性器を思い出す。太いし、固いし、本当に最高だった。  ズボンを下着ごと脱ぎ捨て、ベッドによじ登る。アナルにパールを押し当て、中に挿入した。 「あっ、ん……」  つぷん、つぷんと、パールが呑み込まれていく。そのまま全部呑み込み、ゆっくり出し入れを繰り返した。 「あっ、あ……」  気持ち良くて、自然に声と一緒に唾液が溢れる。こんな身体で、彼女なんか作れるわけがない。  アナルを弄くりながら、シャツを捲って乳首を弄る。ビクビクと、身体が震えた。 「あっ、あっ……!」  ひくひくと、乳首が尖る。いやらしい光景に、自分で興奮してパールを動かすのを早くする。ぐちゅぐちゅと音が鳴り響いた。 「はっ、んっ……。写真、撮らないと……」  指をパールから離し、スマートフォンに手を伸ばす。良い角度で撮れるよう、脚を開いてカメラを向ける。  カシャカシャと何枚か写真を撮り、角度を変えてまたシャッターを切る。 「ん、ふ……。ちょっと、いまいち、かな……」  四つん這いになり、またシャッターを切る。そうやって、俺は自慰行為をしながら、何枚も写真を撮り続けた。    ◆   ◆   ◆ 「ん、やっぱ、加工するといまいちだな……」  撮影した写真を加工し、顔とハートの痣が解らないようにしたが、何だかいまいちだ。隠しすぎてエロくない。写真によっては何をやっているのか解りにくくなっている。こんなんじゃ、フォロワーも増えないし、相手も見つからない。「こいつとヤってみたい」と思わせるような写真が撮れていない。 「加工前は結構、良い感じなのに」  無加工の写真は、結構良い感じに撮れた。エロいし、挿入してるのも良く解るし。  下腹部ではまだ、極太のバイブがヴヴと唸り声を上げている。精液やローションでぬるぬるした下半身を剥き出しにしたまま、スマートフォンを弄くる。 (うーん、どうしよ……)  早いところアカウントを作り直さないと。オナニーばっかりしていられない。けれど妥協した写真で始めるのは癪だ。俺は露出癖があるので、写真での露出で手を抜きたくない。 (けど、見て欲しい)  誰かに見られることで興奮する性質は、どうしようもないものだ。誰でも良いから、俺のいやらしい姿を見て欲しい。出来れば、興奮してくれたらすごく嬉しい。 「――……」  ふと、脳裏に悪魔が囁く。  見て欲しいのなら、別に見知らぬ他人でなくとも良いではないか? 俺がこういう人間だと、少なくともヤツは知っている。  スマートフォンをタップし、アプリを起動する。先ほど撮影した写真を、そのまま無加工で送信した。  

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