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序・夏は嫌い
今日も暑くなりそうだ。
千景は大きなため息をついた。
千景は夏が嫌いだ。
その理由のひとつは、焼け付くようなお天道様の陽の光があるからだ。
おかげで色白な肌は熱を吸収し、長時間お天道様の光に当たったことで赤くなる。けれどもそこまでで、焼けることなく薄皮がめくれてまた白に戻るのだ。
骨ばかりが目立つ細い体は軟弱だ。その上白い肌のおかげで過去に女子 のようだと揶揄 われたことがある。今は流石にそういったことはないが、過去の思い出が今も根深く残っていた。
そして、夏が嫌いな理由のもうひとつは、生まれた時から目が見えないせいで花火を見たことがないのだ。
夏になると打ち上げ花火が大空に上がり、大輪の花を咲かせるという。
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