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天・治療

 四 「さあ、ゆっくり目を開けてください」  先生に優しく促され、千景は瞼を開ける。すると間もなくしてぼやけていた視界はやがて焦点が合う。 「千景……」  目の前には痩せ細った女性がいる。この優しくあたたかな声には聞き覚えがある。 「かか、さんですか?」 「千景……ああ、目が見えるのね。先生、ありがとうございます、ありがとうございます」  感動のあまり泣き崩れるお仲を、助士を務めた女性が宥めている。 「千景、おれが判るか?」  母親に続いて千景に声を掛けたのは、一人の青年だった。  この声には聞き覚えがある。視界を上げる。年の頃なら二十五あたり。肩までの髪を後ろで結っている。背の高い、涼やかな双眸をしたこの男はもしや――。

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