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破・売買
言うなり、彼らは千景を捕らえた。
四つの腕に取り押さえられた千景は、体が強張った。
自分はこれからどうなってしまうのだろう。
想像もつかない出来事に、千景はただただ震えるばかりだ。
「お待ちください! この子は生まれつき目が見えなくて。足だって怪我をしているんです! ですから!!」
「力仕事ができないなら身体で払ってもらうまでだ。こいつはなかなか上玉だし、なぁに心配はいらねぇよ。男を気に入る客だっているんだ。いっぺん男を覚えちまえばお前さんも愉しみながら稼げるぜ? 楽して儲けられるんだ。本人にとってもいい話だろうがよ、なあ?」
千景の体を舐め回すような視線が気持ち悪い。
「いや、やだっ!!」
(助けて虎次郎さまっ!)
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