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虚愛情事*
「ぅ、………ぁぁああ………っあ、あ」
「伊吹ぃ、きもちー?」
「うぅー……っはぁ、う……」
ぐちっ、と卑猥な音がして、俺の羞恥心を掻き立てる。
男に足を開いて。
男に抱かれて。
男に感じて。
男にドキドキして。
みっともなく、喘ぐ。
別に同性愛は否定しない。愛は自由で、互いに想い合えるならば、それは幸せなことで、だから紫月と西条に幸せになって欲しい。
ただ──俺は『そういうの』じゃないから。
想いなんてカケラもなければ、想われてすらいない。
ああ、なんて
なんて虚しい──。
「──っああぁっ!」
「考え事、なんて酷いなァ伊吹」
「ぁ、ぁああ……ま、て、しずか、さん」
ドライで達してしまって、上手く喋れない。でも閑さんは容赦なくて、奥を、前立腺を、的確に、強く突いてくる。
2メートル近い巨体の俺を軽々と弄んでいく。脚を持ち上げたり、俺の上体を抱えたりして、全くこの細身のどこにそんな力があるのやら。
「待たないよ」
舌なめずりでもしそうな表情で、俺の脚を肩に乗せると、更に激しくなる律動。意識が飛びそうだ。
「考え事してた、伊吹が悪いの」
ああ、もう何も考えられなくなる。この瞬間だけ、この一瞬だけならば──。
俺は、閑さんの背中に縋りついた。
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