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腐女子センサー
──カタカタカタカタカタカタ…………
「……マスちゃん、神楽生徒会長、何があったんデスか」
「わっかんない。やっぱさ、あの仕事ペース異常だよね」
「ハイ、キーボードを打つ指の残像が凄いデス」
「佐神くん、月詠先輩がぁ……っ!」
「──かぁーぐぅーらっ!」
「──っゎう!?」
「すっごーい集中してるトコ悪いけど、いい加減休まないと近視が悪化するよー?」
ひたすら無心にキーボードを打っていると、いきなり桜和に背後から抱きつかれた。そのせいで前のめりになってしまい、ひとつのキーが押されたままになって、画面には『──によるっっっっっっっっs……』と、延々と『っ』に変換された『s』が表示されていた。
「っ、おぅ、か……」
「うん? どーしたの?」
「っ何でもない!! さっさと離れろ!」
ツレないなー、と言いながら桜和は月詠を起こそうとチョップをかましまくっている佐神のところへ向かっていった。
「かーぐらっ!」
「っひ!?」
「あはは、かわいー」
「……嗣川」
今度は誰かと思いきや、嗣川だった。いつも特に害になるようなことはしないので、気を抜いていると、
「昨日桜和と何かあったのぉ?」
「はぁっ!?」
「あー、あったんだー」
せっかく大量の『っ』を消したばかりだというのに、今度は『ん』が3行に渡って大量生産されていた。
「なになに、キスでもされちゃったー?」
「……っ…………」
「えっ、ホントに!?」
おそるべし、腐女子パワー……。
「ふぅ〜ん……そっかぁ……桜和順調なんだねぇ」
「何一人でぶつぶつ言ってるんだ……」
「ん〜? いやぁ、桜和の神楽攻略作戦は順調なんだなぁと思ってね」
「………」
俺はゲームか。
パソコンに向き直って再び資料を手に取る。目がチカチカするほど細かく並んだ文字はらしくない感情についたてをしてくれた。
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