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自覚

 ──バタンッッ!!  荒々しくドアを閉めてリビングを突っ切り、階段を駆け上がった。 「神楽ー? 静かにしなさいよ、もう。ご近所迷惑でしょー?」  下から母さんの叱咤する声が聞こえるけど、気にしない。気にする暇なんてない。それより俺の頭の中は完璧にさっき桜和にされた頬へのキスで頭がいっぱいだ。  部屋に駆け込むなりこれまた乱雑に閉めたドアを背にズルズルとしゃがみ込む。右手でコートの胸元を握って、左手で頬に手を当てる。  信じられないくらい顔が熱くて、心臓は早鐘を突いていた。  まだ桜和の唇の感覚が残ってる……。  もう、ありえないとか言ってられない。  まさかこんなすぐに堕ち始めるとは思わなかった。だって同性愛に偏見がある訳じゃないけど、俺は自分は至ってノーマルだと思ってたし……まぁ、恋愛なんてした事ないが。  だけどその手のモノ──AVとか──は友達とかに見せられたりして、普通に……興奮? したし。それだってゲイビデオな訳じゃなかった。至って普通のAVショップとかに行けば大半を占めるであろうノーマルなやつ。 「…………はあぁ〜〜〜………」  どうしよう。  認めたくない、けど。 「……す、き……?」  口に出した瞬間、それはストンと胸に収まった。

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