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来訪
「………なぁーんで兄ちゃんが学校にいるわけ」
珍しく怒りに顔を引き攣らせた桜和。
「いやぁー、久々に母校──生徒会室入りたくてさー」
そしてにへらっと笑う和音さん。
「……和音さんこの学校の生徒会だったんですか?」
「うん? 桜和から聞いてない? 俺ねぇ」
ニンマリと笑ってまあまあ焦らす。
「生徒会長やってたんだよ」
「…………………はい?」
「ちなみにここにあの鍵付けさせることになった犯人もコイツね」
「ちょ……桜和ー……お兄ちゃんをコイツ呼ばわりなんて酷いじゃんー」
どっちかって言うと、生徒会室より生活指導室に縁がありそうな人なのに……。
「黙っててくれる? 悪趣味兄ちゃん」
ボキボキと指のありとあらゆる関節を鳴らし、青筋立てる桜和。笑ってるけど殺意を隠しきれてない。オーラが怖すぎる。
悪趣味……お前だって人のこと言えない悪趣味だろう、桜和。
「えー、神楽くん可愛いんだもん」
「何が『だもん』だ。気持ち悪い。神楽なら可愛いけど、兄ちゃんやってもキモいだけだから。あと兄ちゃんの場合、〝神楽〟じゃなくて〝俺の好きなもの〟だろ」
「ありゃ、バレてた?」
白々しい返答にとうとうキレた桜和がビニールテープで和音さんを縛り上げようとする。ああ、ああ、滅茶苦茶。
「……佐神」
「ハイ?」
「……止めれるか、あれ」
「無理デスね」
スッパリ、爽やかに、とてつもなく、いい笑顔で、ぶった切られた。
何かもう清涼飲料水とかのCMに出てきそうな爽やかさだ。片手にサイダーとか持たせたら完璧だ。
現実逃避をしている内に、和音さんは見事なミノ虫になっていた。
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