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お誘い
「あ、神楽くんじゃーん! 何やってんの? 桜和とデート?」
「送ってもらってるだけです……」
大体、生徒会の生徒が放課後にそんな時間中々ない。そもそも付き合ってない。サラっとその辺を言えてしまう辺り、和音さんは何と言うか……凄い。
そして、数時間前と変わらず胡散臭い。
「ん〜……やってるねぇ、桜和。ナイト様のお仕事は順調?」
「兄ちゃんがいなかったら更に順調だよ」
「つめったいなぁ〜」
クスクスと笑いながらカジュアルな服を翻して踊るように歩く和音さん。 その様はさながらピエロだ。
「……和音さんって、いつ仕事してるんですか」
「有休中♡」
答えのような答えじゃないような、曖昧すぎる回答だった。あと、語尾のハートマークはいらない。
後ろにいる桜和が車椅子のハンドルを握る力をとんでもない強さにしているのが伝わってくる。怖い。殺気が凄い。借り物だから、壊れないか物凄く心配だ。
「……桜和」
「何」
和音さん大嫌いオーラが凄い。何時もなら絶対しない ぶっきらぼうな切り返しだった。
「……俺の家、泊まるか……?」
「わーお、神楽くん直々のお誘い!お前も隅に置けないねぇ桜和?」
ニタニタと笑う和音さんに思いっきり神経を逆撫でされて桜和は分かり易くキレていた。
「……じゃあ、神楽の家に避難させてもらうよ」
「避難って酷いなぁ、桜和〜実のお兄ちゃんなのに」
くすくす笑って、和音さんはまたピエロのようなステップを踏んで服を踊らせながら暗闇に溶けていった。
「……あの人捕まらないのか?」
「いっそ捕まればいいと思うよ」
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