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台風一過
「和音さん」
「ん? なぁにー神楽くん?」
「か」
「帰れコール」
「マジかー神楽くんに言われちゃったんなら仕方ない。今日はお暇するよ。またねー」
ひらひらと手を振ってドアの外へ消えていく和音さん。一方、俺の言葉を遮った桜和はと言えば、「二度と来んな」とこれまた憎悪に満ちた声と表情で舌打ちしながら扉を睨みつけていた。
……いつかコイツの目から殺人光線でも出てくる気がする。和音さん専用の。
「あー……今度から名指しで一人卒業生立ち入り禁止の校則作ろう。可決は在校生の3分の2……最悪改ざんしてしまえば……」
待て待て待て。
改ざんとか恐ろしいこと言ってるぞこいつ。和音さんの訪問は確かに生徒会の仕事に支障を来してはいるけどそこまでするか。
「……職員室行って風見先生にプリント渡してくる」
「了解デス」
「いってらー」
「わかりました」
「……くー……」
各々に返事をする中、いつの間にか寝ている月詠と、どうやって和音さんを追い出そうかと思案している桜和は全く無反応だった。
……職員室、目の前だし松葉杖はいいか。
「……桜和副会長に怒られマスよ」
クスクスと笑いながら佐神は手を振っていた。
……早く戻ろう。
そう、出来れば桜和が物思いに没頭している間に。
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