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賑やかなのはいいですが

「ねー神楽くんー遊びに行こー?」 「えっと……」 「帰れバカ兄ちゃん」 「何だよー桜和冷たい!」 「黙って?」  ガガガ、と音を立て、また俺の座る椅子が和音さんから遠ざかる。長机の上の資料とパソコンを自分に合わせて引っ張って作業再開。もう何回目だこの作業。  和音さんが俺に近付いて何か一言でも言おうものなら俺は桜和によって少しずつ──5回に1回のペースで大きく──席をずらされていた。  いきなり、前触れといえば和音さんが話し掛けてくる一瞬のタイミングは中々掴めなくて、たまにキーボードを押しっぱなしになっていつかの時みたいに画面が大変な事になる。 「兄弟で取り合いっていうのもいいと思うんだ!」 「神楽会長の前でそれ言って思いっきりはっ倒されてきてクダサイ」 「最近の矜持くん私に冷たいって言うか、辛辣だよね……」 「最近マスちゃん自重しなくなりマシタよね」  もうなんでもいいからこの兄弟止めてくれないか。いや、和音さんが黙れば済む話なんだけど。  相変わらず桜和にはあまり似ていない笑顔でニコニコしている和音さん。次はいつ話しかけてくるかと身構えながら『っ』の嵐になっているパソコンのdeleteキーを押し続ける。毎回こんなことを繰り返すなんてごめんだ。

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