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1日目④

 その時、煜瑾(いくきん)の肩越しに、小敏(しょうびん)文維(ぶんい)たち「研修会」実行委員5人がホテルのロビーに入って来るのに気付いた。 「煜瑾、ほら…」  小敏に言われて振り返った煜瑾は、そこに最愛の恋人の姿と認め、まさに輝くような笑顔を浮かべた。 「早かったね」  言葉少なく言って、文維は煜瑾に近付こうとした。それを小敏が目立たないように妨害する。 「こんなトコで、目立つようなコトはしないでよ」  小さな声で、注意を促すと、文維はクスリと笑った。 「抱き締めてキスくらいはしたいけど、日本にいたって自制はできるよ」  低く囁き返した文維の声に、煜瑾も恥ずかしそうに笑う。それがあまりにも清純で、可憐で、目に止めた誰もが息を呑むほど高貴な愛らしさだった。 「それで…、君たちの部屋はどこ?」  いつの間にか文維の隣にいた楚雷蒙が、小敏と煜瑾に訊ねた。 「16階の南東の角部屋です」  自慢げに小敏が言うと、煜瑾はチラリと文維を見て頷いた。 「じゃあウィニーは、その真下の部屋だ」  そう言って、5人分のチェックインを済ませた楚雷蒙が、文維のパスポート共にホテルのカードキーを渡した。  今回の「研修会」の参加者は、一律の参加費を収めてはいるが、実行委員の航空券と宿泊代は、楚雷蒙の私費から補填されている。  それでも、実行委員だけがスイートルームというのも、他の会員との差別化が大きいということで、スタンダートルームからワンランクだけ上のデラックスダブルルームが用意された。  5部屋用意されたデラックスダブルルームの中でも、文維には煜瑾と同じ景色が楽しめる部屋を、楚雷蒙は与えたのだ。  彼なりの、恋人たちへのロマンチックな贈り物だった。 「では、また後で」  楚雷蒙がそういうと、それぞれは一旦与えられた部屋へ向かった。

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